ADDressやHafhを使った多拠点生活を経て、最近は固定拠点を地方においてそこをベースにふらふらする、という生活をしている。
神戸のURの団地で1年半ほど暮らしたあと、この秋、福岡の古い市街地住宅に引越した。
神戸、福岡を選んだのは、
・新幹線駅が近い
・空港が近い
・フェリー乗り場が近い
という「移動しやすさ」に特化した理由からである。
しかし神戸は六甲山の裏側の山の中に住んでいたので、夏は涼しくてよかったのだが冬になると地面が凍ってバイクに乗れない。あと、駅の周りに何もなくて、徒歩での行動圏内でできることが何もない。というわけで冬になる前にとぼんやり部屋探しをしていたら、たまたま福岡の中でもやたらと立地の良い公社の市街地住宅に空室を見つけて勢いで住むことになった。
市街地住宅とはどういうものかというと団地の吉永さんが以前書いてくださってるのでこちらをどうぞ。
この記事にある通り、郊外に建設される大規模団地と違って、福岡ならたとえば博多駅真ん前みたいな土地に、1階はオフィスや商業施設、2階以上は住居という形で市街地住宅はつくられる。そのため、ほとんどの市街地住宅は周りに高い建物があって眺望が皆無というところが私にとっては一番のネックだったのだが、たまたま目の前が公園なために眺望が抜けているというレアな部屋を見つけて、他のあらゆる難点には目をつぶって即決した。
神戸の山の中に住んでいた反動でめちゃくちゃに街中を選んだため、思わずウォーキングシューズを買って散歩が趣味になるぐらいに外を歩くのが楽しい。平地って素晴らしい(神戸の山の中では歩いてどこかに行くという発想がなかった)。
歩いて天神にでれるぐらい近くて40㎡ぐらいある(他の間取りは空いてなかった)のだが、とにかく部屋がめっちゃ古いという理由で家賃は5万円以下というお得物件である。周りには高層マンションもがんがん建っているのだが、同じ広さならたぶん2倍か3倍ぐらいするんじゃないだろうか。
家具を増やすつもりがないので、部屋が広くなる必要は全くないと思っていたのだが、広いとそれはそれで心にゆとりが生まれる。
持ってた荷物のままでメインルームが6畳から10畳になった。広い。
寝るとき布団を敷く前に椅子をどかしたりする作業がなくなって快適である。
実をいうとその10畳の反対側に、もう1部屋、6畳の部屋がある。もう1人住める。洗濯物干すのと、いらない段ボール何かをしまうのにしか使ってないのだが、メインルームからいつも干してある洗濯物と雑に積まれた段ボールがなくなってとてもすっきりとした。
神戸から福岡への引越しは、普通に引越しトラックを頼むと10万円以上かかってしまう。ただ1年半の間「次に引越すとき楽なこと」だけを考えて暮らしていたので、クロネコヤマトの「わたしの引越し」ボックス1個で3万円でおさまった。洗濯機、冷蔵庫などの大型家電はレンタルしていたのだが、どう考えても中古を買うほうが安いなとずっと思っていたので、返却して中古を買った。また遠方に引越すときは一旦手放して買い直す。それが結局一番安い。
家具以外の荷物は少ない方ではないのだが、「バンカーズボックス」や無印のソフト収納ボックスにもともと入れてあるので、引越しの時はこのまま運ぶだけでよい。
そうやって荷物を「わたしの引越し」ボックス1個に押さえ、URや公社の住宅を選ぶと、引越しにおいて余計な出費はかなり少なく押さえることができる。私はこれを「勝手に転勤生活」と呼んでできるだけ日本のいろんなところに住みたいなと思っている。ただ、福岡が気に入ってしまったら福岡にずっと住むのかもしれない。
UR賃貸住宅を選ぶ利点はここに。
神戸に住んでるときは神戸のいろんなところに出かけたり近所に自分の行きつけの場所を増やすみたいなことは苦手だしあまりしなかったが、神戸拠点だから行きやすい場所みたいなところには結構行った気がする。和歌山とか山陰とか四国とか。福岡拠点になるとそれが九州各地になるだろうから、今から楽しみ。
さて、この部屋の家賃が安いのには理由があって、とにかく古い建物なので、普通の人にはネックになるポイントがいろいろある。いろいろあるなと思っていたけど、特に問題はなかったのでそれをまとめてみた。古い市街地住宅に住む人の参考になればと思ってまとめたが、そんな人は他にいるかな。関東や関西で市街地住宅に空きが出るのを見つけることはほぼないしな。福岡だとたまに出るんだけれども。
・和室
キッチン以外の全部屋が和室である。ただ畳の部屋はそのまま寝っ転がれるし布団も敷けるし家具の少ない暮らしにはベストマッチである。しかも、畳って経年劣化扱いで公社側の費用で入居者が入れ替わるときに畳替えしてもらえるのである。次も和室の部屋がいい。
・洗濯機置き場がない
洗濯機用の水栓と洗濯機パンがない。ただ、この部屋は風呂場の前がすぐダイニングキッチンでスペースが有り余っているので、洗濯機台を置いて風呂場の水栓からホースを伸ばして風呂場に排水するという方法で何の問題もなかった。最近はあまりそういう物件もないのでネットに情報が転がっておらずどうすればいいのじゃ……と思っていたが実際にやってみると超簡単だった。
コインランドリーも考えたが、ランニングコストを考えたら絶対買ったほうがいいし、小型洗濯機や脱水機、手洗いも考えたが、中古なら普通サイズの洗濯機のほうが安いし、これは本当に買ってよかった。便利な位置にあってマグネットがつくのでタオルやドライヤーなどいろんなものの収納場所にもなってしまっている。
・風呂場に換気扇がない、冬場に異常に寒い
これは神戸のURのときもそうだった。ユニットバスでないタイルの在来浴室には換気扇がなく夏はカビがやばい。冬は異常に寒い。サーキュレーターとファンヒーターを導入してなんとかするのがよい。
・トイレが和式(簡易洋式)
ネットの写真ではちょっとなと思ったのだが、内覧時に見たら古さは感じず清潔だったし、使えば慣れるので特に問題はない。気にせずやっている。
・エアコンが設置できない
ベランダがなく室外機置き場がないのでエアコンが設置できない。ただストリートビューでみると前の入居者は下の階の屋根に室外機を置いて明らかにエアコンつけているし、上の階の人とかは屋上に室外機おいてエアコンつけているのだが、公社に聞いたら「公社が許可しているものではないです……」と言葉を濁されてしまったのと、そんな感じで室外機を設置するとなると工事費が嵩みそうだなと思ったので、「窓用エアコンなら設置できます」という公社の案内に従って窓用エアコンを設置した。これが使い物になるのかは冬と夏を待っている感じだが、使えれば、エアコン工事が必要ないのでさらに気軽に引越しできるようになっていいなーと思っている。
窓用エアコンというものも果たして一人で設置できるのか……とか思っていたが、やってみれば簡単だった。
・ガスコンロが持ち込み式
ポータブルのIHクッキングヒーターを買った。めちゃくちゃに手入れが楽で、次の引越し先もできればガスコンロがついてないほうがいいなと思うぐらいである。
・キッチン給湯器が持ち込み式
風呂場の給湯がキッチンまで来てないので、懐かしの簡易給湯器を自分で業者に頼んで自分でつける必要がある。そして出るときには外さなくてはならん。面倒くさかったのでまだつけてない。いよいよお湯出ないと厳しいとなったら風呂場でお湯をくんでウォータージャーみたいなやつで使えばいいんじゃないかと思ってるがどうなのだろうか。
・キッチン換気扇が持ち込み式
キッチン換気扇もついてなく、つける場合は業者に頼む必要があって1〜2万円かかる…みたいな話だったのだが、実際に見てみると穴もあいてて電源もとられているので自分で換気扇を買って(3,000円ぐらい)自分でつければいいだけだった。なんで持ち込み式なのかわからん。
・網戸が持ち込み式
網戸がありませんと書かれていたので、網戸がない部屋はきついなと思っていたら、これも自分でつければいいだけだった。さらに前の人がつけてたやつをそのまま残置物として使えることになったのでラッキーだった。なんで持ち込み式なのかわからん。ついでに簡易給湯とキッチン換気扇も残しておいてほしかった…エアコンも…。
・自治会の存在
入居する段になって「水道代と共益費の支払いについてはまず○○号室の自治会長の○○さんに電話して聞いてください」みたいな紙をもらって、ヒエ……と思ったのだが、自治会長さんが極めて良い人で何の問題もなかった。(水道代と共益費も極めて安い)。ちなみに隣や下の階の方なども極めて良い人。
・建設工事や道路の騒音
目の前が公園で眺望がいいのとトレードオフで、公園の隣で大規模な建設工事をやっておりかなりの騒音がある。それでなくても以前は静かすぎる山の中に住んでいたので、夜になると大通りの騒音なども気になり初日は「やべーかも」と思ったが、2日目で慣れた。
・定期借家
こういういつ取り壊されるともしれない市街地住宅は新規で貸し出す場合たいてい定期借家で、URだとだいたい3年ぐらいで追い出されるのだが、この物件は6年ぐらい住めるらしい。6年も同じ場所に住んだことない(飽き性)ので特に問題なかろう。
最近は団地といっても綺麗にリノベしてそこそこの家賃で貸し出すことが増えているので、ここまで古い部屋って、ちょっと初めて見たなという感じだったのだが、概ね気に入っている。