鶴巻温泉のほぼ貸切拠点での自主隔離生活を経た後、緊急事態宣言後は、清川村の固定拠点で村民生活を送っている。
住民票を移すために、こんな時に迷惑かしらとか思いながら「村役場」に出かけたのだが、手続きしてる人、私以外おらず。全部で1時間ぐらいは待たされた世田谷区役所と比べると、やはり「人口は少ない方が暮らしは豊かである」という説を支持せざるを得ない。
清川村はコンパクトシティ(意味が違う)で、村役場、道の駅、小中学校、幼稚園、郵便局と診療所が、ほとんど同じエリアにぎゅっとまとまっていて、拠点もその徒歩圏内にあるので、非常に利便性が高い。それと、ドラッグストアでありスーパーでありホームセンターであり電気屋である、田舎暮らしの味方「クリエイト」と、観光拠点であり生鮮食品の直売所である道の駅が同じく徒歩圏内。「今日はどんな野菜入ってるかなー」なんて思いながら買いに行くのが楽しい。
といっても、奥多摩の方の東京都の「村」に比べて、神奈川唯一の「村」である清川村は、秘境感は少ない。宮ヶ瀬ダムのダム湖を中心とした観光地であり、厚木、本厚木、海老名といった巨大ベッドタウンまで車で20分くらいのエリアでもあり、ちょっと走って厚木市に入ると、団地や整然と並ぶ分譲住宅地なんかもすぐある。東京から山梨のキャンプ場へ向かう有名な413号線、412号線ルートにも近いし、相模湖周辺にキャンプ場もたくさんあるので、デイキャンしに来る人も多い。
4月の最初のうちは、リモートで仕事しながら、お昼は息抜きにカブで近所の散歩に出かけて、美味しいテイクアウトのお店や、ランチにいい場所の探索を楽しんでいたのだが、ゴールデンウィークに近づくと、そういう雰囲気でもなくなってきた。東京から気軽に行ける景勝地なので、鎌倉・湘南方面と同様、行き場所がなくなったたくさんの車やバイクが都内からやってきて、止むを得ずGW期間はほぼ全ての公園、駐車場、道の駅も閉鎖。
なにかのインタビューで、翻訳家の柴田元幸先生が「旅行や観光は、先進国の特権階級だけに許された身勝手なふるまいだ」というようなことをおっしゃっていて、私はそれが印象に残っていて時々そのことについて考えるんだけども、「インバウンド」の大きな影響から数年経って、また「旅行とはなにか」「観光とはなにか」みたいなことをもう1回考えなきゃいけないような場面になってるのかな、と思う。それはたぶん「いい方向」に変わっていくんだろうなって気もしてる。
とにかく今は、たった1ヶ月ですっかり村民きどりの私は、「村での暮らしの、何がこんなに気に入ってるのだろうか」みたいなことをよく考えてる。