エスカレーターマニアの移動の記録

エスカレーターマニア。船に乗る人。原付で旅をします。

バスケW杯を見に沖縄に行ってきた

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バスケワールドカップで日本代表を応援するために、沖縄に行ってきた。

 

なぜそんなことになっているかというと、おそらく、結構長い間こじらせてきた「ハイキュー!!ロス」が根本にある。

突然ハマったバレーボール漫画「ハイキュー!!」の連載が終了してかなりのロスになってしまい、次に推せるものを長年探しているのだがなかなか見つからず。仕方がないので類似性がよく指摘されている「スラムダンク」全巻をもう一度読み直し、完全に宮城リョータ推しに上書きされたところに映画公開。劇場で3回観て、それでは飽き足らず、バスケットボール国内リーグのBリーグを観始めたのが今年の2月とか3月の話。

 

Bリーグには、宮城リョータとほぼ同じ身長でありながら、国内最強チームのひとつである千葉ジェッツのキャプテンとして天才的な活躍をしている富樫勇樹という選手がいる。

あっという間に富樫推しになり、当然ながらジェッツ推しになって、今年の3月以降は「バスケットLIVE」で水・土・日はジェッツの試合をリアタイし、それ以外の曜日には他のチームの動画を見逃し再生する、という過ごし方をしていた。島根のビュフォードとか、沖縄の今村、そして横浜の河村勇輝。ジェッツ以外にも推しの選手が何人もでき、大変充実していた。家にいながらにして、推したいものがあれば永遠に推せるので、いい時代である。

 

5月にチャンピオンシップが終わってしまって完全に燃え尽きてしまっていた頃、千葉ジェッツの原選手がBリーグのベストディフェンダー賞を受賞し、さらに日本代表メンバー候補に選ばれるという嬉しいニュースが飛び込んできた。ニワカながら解説させてもらうと、Bリーグでは基本的にゴール下でごりごり攻めるポジション(ゴリと桜木)は体の大きい外国籍選手が務めており、日本人でありながら外国籍選手に負けずにがっつり守備ができる原選手というのは大変貴重な人材なのである。

ついでにいうと、原選手と富樫選手は同級生で、ずっと千葉ジェッツのチームメイト。「ハイキュー!!」でいうところの及川徹と岩ちゃんであり、日本代表で2人が活躍しているところが見られるというのは最高以外のなにものでもない。

 

7月からは日本代表の強化試合が始まって、いきなり原選手が7本中6本のスリーポイントを決め、そしてそのたびにベンチで踊っている富樫勇樹、という最高なシーンを見ることもできた。

 

8月に、NBAで活躍する渡邊雄太選手が合流して、「パリ五輪出場権が獲得できなければ代表活動を引退する」という衝撃の宣言があった。同じくNBAプレーヤーの八村選手が不在で、ドイツ、オーストラリア、フィンランドという強豪がいる「死の組」に入っているという状況で、正直「パリ五輪出場権の獲得」はかなり無謀、という印象で、渡邊やめないでくれよ〜という感想でしかなかった。主力の渡邊選手とジョシュ・ホーキンソン選手の負傷もあったが、強化試合でめっちゃ勝ってる感じでもなかったし。

 

ただ、勝つ、負けるとはべつに、バスケの試合の観戦は単純にとても楽しい。7本中6本スリーを決めた原選手のように「ゾーンに入る」選手が毎回変わるし、スラムダンクの山王戦のような、試合終了直前に得点が入って試合をひっくり返すというのも、そんなに珍しいことではない。熱い展開の試合が多いのだ。8月の強化試合を見ているうちに、日本代表全選手の特徴も覚え、公式が提供しているプライベートいちゃいちゃ映像(Inside Akatsuki)などで悶絶しているうちに、ワールドカップ初戦のドイツ戦を迎える。

 

自宅のプロジェクターで観戦したドイツ戦は、完全な負けではあったのだが、とても楽しかった。それぞれの選手が自分の持ち味を発揮するたびに(馬場選手のダンクであったり、吉井選手のディフェンスであったり)、いちいち泣きそうになった。そしてドイツ戦を終えてのロッカールームで、キャプテンの富樫選手が静かに「フィンランド戦は勝てると思う」と言っているのを見て、これは、いけるのかもしれないな、と少し感じた。

 

そこで、急いでW杯のチケットを調べ、沖縄行きの飛行機とホテルを調べて、全て手配をした。日本が勝ち進んだ場合(2次ラウンド)と、負けた場合(順位決定戦)とで試合日程が違っているせいもあって、ドイツ、フィンランド、オーストラリア戦のチケット、翌週の土日のチケットは完売していたが、2次ラウンド(or順位決定戦)の1戦目のチケットはまだ余裕がある状態だった。飛行機とホテルも、最近の東京や大阪の高騰ぶりを考えたら激安のレベルだったし、なにより、私はこういうとき行きたい場所にすぐに行けるように今の生活をしているので。

 

翌々日のフィンランド戦。歴史的な勝利。2001年生まれの河村選手、富永選手の躍動もそうだが、私は3Qのラストで富樫選手のパスからスリーポイントを決めた馬場選手、二人のベテランの執念が印象的だった。ここで、20点近い差を10点差まで持っていけたのが、本当に大きかったと思う。「勝てると思う」と語っていた富樫選手、仲間を積極的に鼓舞するタイプの人ではないからこそ、その言葉は真実だった。

 

そして、この時点でイランや中国など日本よりランキング上位のアジアの強豪がまだ1勝もできていないという状況で、「ワールドカップでアジア1位=パリ五輪出場権獲得」が全くの夢ではなくなってきた。

 

沖縄行きに備えて買った代表Tシャツも届く。

オーストラリア戦を終えた時点で、1勝しているのは日本のみ。ただ、死の組は順位決定戦も死の組であり、日本より格上でスロベニア相手にいい試合をしていたベネズエラ、さらにそのベネズエラをくだしたカーボベルデが待っている。この両方に勝てば、アジア1位確実だが、1つ負ければ途端にわからなくなる。そんな状況。

 

那覇空港には、沖縄にきているNBAのスーパープレーヤーの写真がどーんと貼ってあった。気分高まる。

 

そしていろんな場所に日本代表を応援するスポットがある。

 

そしてついに観戦の日がきた。

 

とった席はコートサイドの電光掲示板より上の席。安い席ではあるが、沖縄アリーナはバスケの試合のためにつくられたアリーナであり、とても見やすい。席につくと、ちょうど日本代表メンバーがみんなで準備体操を始めるところであった。カワイイ。テレビでずっと応援していたメンバーが目の前にいる。

 

ベネズエラ戦は非常に苦しい試合で、最後の数分までずっとリードされる展開が続いていた。前日まで30点以上得点を重ねていたホーキンソン選手が徹底して対策されており0点。飛び道具である富永選手のスリーもこない。なのに、最後の数分で、みるみるうちにあっという間に点差を縮めて、なんと逆転勝利してしまった。フィンランド戦で大号泣して、この試合が現地で観戦できた人は本当にラッキーだなと思っていたのだが、自分がそうなるとは思わなくて。ただ、現地で観戦した感想としては、「めちゃくちゃ苦しかった」ということと、「最後、あっという間に勝ちすぎて、なんで勝ったのかぜんぜんわからない」「まだ全然信じられない」ということ。そのあとホテルに帰ってから最後の逆転劇をあらためて動画で見て、あらためて号泣した。

 

翌日は、日本が勝ったとき用の「願掛け」と、NBAのスーパープレーヤーが見たいという完全なミーハー心でチケットをとってあった2試合を観に、再び沖縄アリーナへ。

 

ドイツの天才ポイントガード、シュルーダー。

 

オーストラリアのパティ・ミルズ。

 

そしてルカ・マジックのドンチッチ。

 

オーストラリアブースターの皆さんはカンガルーをしたがえていた。

 

バスケの試合観戦は本当に楽しい。そして、現地で見ると、試合は本当にあっというま。23-24シーズンはBリーグの試合もできるだけ現地で観戦したいとおもう。

 

土日のチケットは早い段階で全て売り切れていたので、沖縄から福岡に戻り、最後のカーボベルデ戦を観た。やっと最初から日本の良さが発揮できた!と歓喜していたものの、4Qでまたもめちゃくちゃ苦しい展開になりつつの勝利。そして、「アジア1位」「パリ五輪出場権獲得」という夢が、本当に現実のものになった。

 

 

タイムラインに流れてくる大量の最高の写真。

ニワカもニワカであるが、Bリーグを応援していてよかった。勢いでW杯のチケットをとってよかった。こんな最高の結末になるとは。

 

最後に、私の最推しである、同級生コンビの話。

富樫選手は、本来キャプテンって感じの人ではない。千葉ジェッツで見せるのも、相手の流れに持っていかれたーっていうピンチのときにいっさい空気を読まずにビシッとスリーポイントを決めちゃって流れを断ち切る頼りがい。日本代表チームでも、リーダーシップの面で語られるのは渡邊選手のほうが多かったと思う。特に今回は、同じポイントガードで同じぐらいの身長である後輩の河村選手の活躍が光り、そもそもの出場機会も少なかった。ただ毎試合、ゾーンに入った選手の活躍に最大の笑顔を見せ、声が枯れるまで声を出している富樫選手の姿は本当にかっこよかった。その隣にいつもいる原選手も。ディフェンスしっかり締めたいときに、必ず呼ばれる人。

 

来週からプレシーズン、10月にはBリーグ開幕戦がある。

今年も富樫&原の大活躍がBリーグで観られる。本当に楽しみでしかたない。