エスカレーターマニアの移動の記録

エスカレーターマニア。水辺好き。原付で旅をします。

大満足のさらに上を攻める小谷村の砂防ダム見学ツアーがちょっと凄すぎました

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ローカル自治体が開催するインフラ鑑賞ツアーの老舗にして最高峰、小谷村の砂防ダム見学ツアーに参加してきました。

 

小谷村ならではの土木アート砂防ダムめぐり | 長野県小谷村ツアー | 信州小谷村観光情報

 

小谷村役場に8:00集合16:30解散という、日の出から日暮れまで目一杯使うコースで、毎年大人気、大好評。だいぶ前に参加している人たちから「すごかった」という感想を聞いていて、ずっと行かなければと思っていたのですが、実際参加してみたら想像の2,3歩先をゆくすごさでした。

 

↓ツアーの内容は、2013年の萩原さんのレポートと全く同じ。

dailyportalz.jp

 

 

小谷村役場集合

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小谷村役場前で待っていたのは、ホテルの送迎バス。

 

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スキーリゾートとして賑わうすぐ近くの白馬村は、盆地で平坦な地形が広がっていましたが、小谷村は山と谷だらけ。

役場の中に、土砂災害警戒区を示した村の地図が掲示されているのですが、姫川に沿ってほぼ全域が警戒区です。大変だわこれは。

 

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こちらは、昼休憩の際に見せていただいた災害を記録した冊子。

直近で起こった大きな災害は平成7年の梅雨前線豪雨と、2014年の長野県神城断層地震

 

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そんなわけで砂防ダムの宝庫となっている小谷村なのですが、いただいたパンフレットに10箇所の砂防ダムが載っているので、「このうちのいくつかを観にいくのかな」と思っていたら、全部行くんでした。しかも、全部、構造の違う砂防ダムなんだよ。すごくないか小谷村。

 

千国6号コンクリートブロック堰堤

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元々あった砂防堰堤の上に新たに作られた千国6号ダム。

 

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下が土砂なので、形が自由で安全に作業ができるブロック積みの工法が使われています。

 

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国交省OBの方と思われる、めちゃくちゃ詳しい男性がバスに同乗してくださって解説していただけます。この先生が、すごい分厚い資料のファイルやら何やらなんでも持ってて、これはブロック堰堤のブロックの見本です。わかりやすーい。

 

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どこまで行っていいのかな?と思ってたら、小谷村の役所の方が率先して堰堤に登り始めたので私も登りました。

 

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大きい石がゴロゴロ落ちている、流れの強い河川です。

 

若栗コンクリートスリット堰堤

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橋の上から眺めるコンクリートスリット堰堤

 

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河床を安定して、渓谷が横から崩れるのを防ぎます。

 

里見2号鋼製格子枠堰堤

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続いては、楽しみにしていた憧れの鋼製格子枠堰堤です。スキー場のゲレンデの中の道をバスで登っていきます。(!)

 

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でた!ジャングルジムみたいでめっちゃかっこいい。

この時点で結構満足してたんですが

 

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やはり小谷村の方が、ガンガン沢を渡っていくのでついていったら

 

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え。

 

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え。え。いいんですか。

 

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どーん。ジャングルジムの内側まで入らせてもらえました。想像以上。

 

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この場所、冬はバックカントリースキーのゴール地点になってるそうで、記念のシールが貼ってあります(フリーダム)

 

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めっちゃかっこいい!ツアー来てよかった!て思ったんだけどまだまだ続きます。

 

日かげ沢大別当階段式床固工群

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砂防より高さの小さいものを「床固工」といいます。

 

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急勾配を緩やかにすることで、浸食を防ぎます。

 

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律儀に階段の1個1個に番号振られて標識ついてます。下から順に施工するので、下から数字を振るらしい。水をはけさせてから工事をするので、雪のない時期が少ない小谷村では工事が大変で、年度を跨いでることもあるそう。

 

日かげ沢塩水高落差流路工

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長さ130m、高さ60mの勾配がきつい流路を固定するもの。

 

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地滑りと侵食で山が無くなった部分に、左右を固めて底石をおき、流路を固定します。草がモッサモサでよくわからないのですが、萩原さんの記事の頃だとジェットコースターみたいでめっちゃかっこいい。

 

土谷川奉納鋼製セル堰堤

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次の場所も、すごい場所までバスで登っていくんだなぁと思ってたらもはや堰堤の真上でした。

 

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セル堰堤もかっこいいよね。すごく。

この丸い筒の中には工事中に出た土砂が詰まっており、コンクリートで作るより20%もコストカットできる上に片付ける手間なしなんだそう。めっちゃ芸術的な姿なのに、合理的なんだな。

 

ところで私たちは金曜日で4名しか参加者がおらず、20人満員御礼の日曜日の予行演習的なことになっており、「ここは蜂がいるからやめておこう」とかそんな相談を職員の方がされていて。あまりにもフリーダムなので、日曜日大丈夫ですかね、という話を参加者同士でしていました。

「1人は蜂に刺されますね」

「1人は沢で転びますよね」

「1人はダムから落ちますね」

※特に怪我人など出なかったようで何よりです

 

大雪倉沢鋼製スクリーン堰堤

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濁沢李平鋼製枠堰堤

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鋼製の枠の中に綺麗に石を積んである、ちょっと面白い砂防ダム。このダムが地震の時の地滑りを止めたそう。

 

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ちょっとわかりにくいけど、確かにダムの場所で地滑りが止まっています。

 

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その横では新しい砂防ダムの建設がされていて

 

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向かい側には地震の際の崩落地の現場がありました。小谷村がんばれ。

 

濁沢リングネット堰堤

ここで、バスは工事用車両のための狭い道路をなんとスイッチバックで登る(!!!)というアクロバティック技をみせ、車内拍手、という、すごいスペクタクルがありました。

砂防ダムなので、簡単には辿り着けない場所にもあるのはあるのだが、それにしてもツアーで行かなくてもよくないだろうか。

 

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行った先にはガイドの先生一押しのネットを使った珍しい砂防ダムがあります。なのだけど、残念ながらネットの部分が役目を終えちゃって、ありませんでした。(萩原さんの記事に活躍中の写真があります)

 

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スイッチバックで登るような場所なので、ここまでコンクリートを運んでくるのも大変。なのでとられている素晴らしい工法(ただし特許料が高い)らしいんですが。復活するといいですね。

 

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休憩の道の駅の横に、何やらモニュメントがたっているなと思って近寄っていったら

 

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平成7年の梅雨災害の復興記念モニュメントだった。なぜ恐竜。

 

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恐竜の力強い生き様にあやかるということらしい。

 

浦川スーパー暗渠堰堤

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最後もまた変わった形の堰堤。半径4mのトンネル=暗渠で流れを制御します。

橋っぽい形をしていて、災害の際などにも対岸まで渡れることもポイントらしい。

 

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端ではなくダムなので、上流側と下流側で構造がだいぶ違いますね。

 

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この川岸に設置されてるやつも砂防の施設らしいぞ。(なんだっけこれ)

 

稗田山崩れと金谷橋

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最後にバスは、明治44年に大規模な山体崩壊があった稗田山の崩落地直下へ。

お天気がちょっと心配だったのですがばっちり見ることができ、もう何も言えないほど満足度が天井越えました。

 

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大谷崩れ、鳶山崩れとともに日本三大崩れに数えられる稗田山。土砂が流れおりた浦川は、数十メートルも河床が上がったそうです。

 

ガイドの先生もおっしゃっていたけど、そんな大規模な山体崩壊が起こったらもうどうしようもないわけで、人間の砂防の取り組みの地道さと、自然のダイナミックさの対比に思いを巡らせて、大満足ツアーはクライマックス。

 

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雲はあったけど、百名山雨飾山もちょっと見えた。

 

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稗田山崩れの鑑賞スポットである金谷橋も、日本で初めての平行線ケーブル工法で作られたちょっとすごい橋です。