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美女と野獣、ハウルの動く城、それにムーンライトにみる、マイノリティの恋愛

 

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 実写版の美女と野獣を見て、大変に感動してしまった。

たしか美女と野獣は子どもの頃に劇団四季のミュージカルで見たことがあったのだけど、まったく違う見方をし、まったく違う移入の仕方をしている自分に驚いた。

簡単に言えば、エマ・ワトソン氏演じるベルではなく、完全に野獣側に感情移入して見ていたから。そして途中までやや怒ってもいた。

 

(以下ネタバレ)

 

野獣は自分の身の危険も顧みず、ベルを救うために身を呈してオオカミと戦ったりとかベルの大好きな本を自由に読んでいいと教えてあげたりとか実は教養豊かだったりとか、すごくいいところいっぱいあって、素敵なんだけれど、ベルはというと「わたしはひととは違うの」と思っている平凡な文科系女子でしかないので、「結局、顔ってことじゃん!」て思ったりしていたわけである。がしかし、「彼はこういったところがこんなふうに優れているのでわたしは彼が好きです」なんて自分にとってうまみのある理由があるほうがなんか虚栄的じゃないだろうか。理由なんて特になく、野獣は恋に落ちちゃったんである。なにせ、エマ・ワトソンがめちゃくちゃキュートなので、仕方ないのである。

というわけでベルに突発的な恋心をおぼえた野獣の気持ちのままこの映画を見ていると、ひたすら、「野獣がんばったなぁ〜」という思いが湧いてくる。マイノリティーにとって恋愛はしんどい。自分の性愛をあっけらかんと表現することが許されるのは多数派の特権だから。「あなたが好きだ」と伝えた時に、イエス、ノーの前に「は、なにそれキモい」と言われる恐怖がある。だから「この人ならわたしのことを受け入れてくれそうだ」というような、ある種安全パイ的な人を選んで、「相手が好きなのと自分が傷つきたくないのと半々」みたいな気持ちで恋愛する人も多いだろう。少なくとも大人になってからのわたしはずっとそうだ。相手に告げる、告げないの前に、そもそもそういう打算的な気持ちでしか人を好きになれなくなっている自分に気づくと呆然とする。

そういう心理的なハードルを超えたところで、誰かを好きになる、心から愛するというのは、そのほうがよっぽど難しいことなのだ。先日、エマ・ワトソン氏の演説の内容が話題になっていたが、「俺はキモいからエマ・ワトソンは俺を選ばない」とか言っていじけている場合ではないのである。ならばあなたは、本当に誰かを愛したことがあるんですか?自分自身が超えられないハードルを相手にだけ超えてこいと要求するのは、卑怯だ。

 

そんなこんなで野獣の勇気に拍手を送っていたら、いろいろ思い至るところがあった。ひとつは、先日見てものすごく感動したムーンライト。

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ほとんど最後の最後まで、直接的に性愛を語ることをしない主人公。超えたくて超えられない高すぎる壁、近くにいるのに遠すぎる距離、そんなもどかしさに胸がつまった。

 

もうひとつは、今更すぎるが「ハウルの動く城」。

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これも、ハウルジブリ史上最高の「イケメン」キャラで声がキムタクで対するヒロインが「おばあちゃん」というのがなんとも感情移入しにくい、と思っていたのだが、自分の容姿を気にして「わたしはそういうの関係ない」と言わんばかりだったソフィーが、「おばあちゃん」というとんでもないハードルを乗り越えてハウルに愛を告げるという、すばらしい恋愛物語なのだった。

 

何度か引用しているのだが、以前読んだ、雨宮まみさんの著書から胸に刺さった言葉を紹介して終わりにする。

恋愛をするということは、汚い自分を引き受けることです。まったく汚いところのない恋愛なんて、ない。どこかに必ず汚い自分の影が現れる。そのことを知らずに、自分は童貞だ処女だと、恋愛している人間を恨んだり憎んだりするのは、浅い考えです。汚い自分を他人に見られ、知られ、そういう自分に自分で気づくことは、何も知らずにいるよりもずっときつい。 

女子をこじらせて

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