また人に説明するのが難しい一人旅に出ていた。2年ぶりの海外。上海。
2年前の香港で、なんで今までアジアの都市を旅行先からスルーしてたんだろ、といたく反省していたので、その第2弾。と思っていたのだが、上海、香港とは本当に全然違った。まず、私が考える「都市」ではなかった。香港は「横浜が災害もなく敗戦もなくバブル景気のまま100年突っ走ったらこんな感じかしら」という感じの都市だったけど、上海は同じ港町でもお台場だった。お台場は都市ではない。
そういう意味でいうとけっこう裏切られた旅ではあったのだけど、なんか圧倒されたまま掴み所なく帰ってきた感じもある。
出発は久しぶりの成田。格安航空券を検索したところ、時間帯の良い便ではどの航空会社でもさほど違いはなかったので、慣れているANAに。
ウェブチェックインして、機内持ち込みギリギリサイズのスーツケースでそのまま荷物検査。土曜早朝の成田の出国審査は混雑していたのだが「自動化ゲート」のことを小耳にはさんでいたので手続きブースを探す。場所が隅っこですごくわかりづらくて諦めかけたが手続き自体は紙1枚書いて指紋登録するだけで至極簡単。あとはパスポートかざして指紋をとられるだけで並ばずに通過できる。おもしろい。
海外旅行は空港に2時間前、なんて言われてたけど国内線と何も変わらない手続きで済んでしまうので全部で15分くらいだったと思う。らくちん。
そういうわけですごく早く搭乗口まで到達。国際線の搭乗口はたくさん飛行機が見えるうえにWiFiも電源もフリーで使える素敵な場所なのでいつも出発せずにこのままずっとここにいたいと思う。
ところで前日に満席のためビジネスクラスにアップグレードのお知らせがあり半信半疑だったのだが本当に席はビジネスだった。ウェブチェックインな人はアップグレードにはならないと勝手に思い込んでいたが、なった。他はビジネスマンと中国人の団体旅行客、家族連れ、などだったのでエコノミーに乗る1人客がものすごく限られていたのではないかと推測。ヨーロッパ便なら絶対いる女子一人旅系のひとやハネムーンカップル、ソウル、香港なら絶対いる女子2人旅、などなど含めて行きも帰りも上海の街中でも、「日本人旅行客」にほとんど全く遭遇せず。
たった3時間の旅なのが惜しくなるぐらい広々としたシート。難点は広すぎて前の座席の下に入れた荷物にシートベルトしたままだと手が届かない。
ラッキーアップグレード席ではサービスも含めてビジネスクラスなのでなんだかいつも恐縮する。客室乗務員さんは名前まで呼んでくれたが「こいつラッキー席だ」っていうのは把握されてらっしゃるんだろうか。まぁ私の場合、書いてなくてもバレバレではあるが。調子に乗ってシャンパンなど頼む。思えば、今回の旅行で一番リラックスして休暇を満喫した瞬間だったかもしれない。
地図で見るともしかして沖縄より近いのか?な上海、あっという間の到着。
両替とWiFiの調達は多少高くても日本ですませちゃう不精な私。空港で入手しなければならないのはSuica的なカードのみ。改札前のそれらしい窓口で売ってもらえた。香港は皆ちゃんとした英語を話す人ばかりだったが上海の人はだいたい身振り手振りの同レベルなので逆にやりやすい。よくわかんなかったのだが、「ハウマッチ?」「ワン!(1枚!)」「ワンハンドレッド?」「イエス!(あ、チャージのことだ)」という感じで100元チャージのなんとかカード(香港と違うのは名詞だけは全部中国語なので物の名前や地名がわからない)をゲット。
入手したばかりのカードでリニアモーターカーに乗る。ホームに直接は行けず電車が到着してからゲートが開くシステム。日本人は慣れないけど海外の中長距離路線だとけっこう当たり前ですね。7分ぐらいであっという間について、地下鉄2号線に乗り換え。地下鉄2号線は空港直行なので、やけに高いリニアの意味あるのか?と思ったが、帰りに地下鉄を利用してみて、うん、あるな、と思った。地下鉄だと急行がないので体感1時間ぐらいかかります。ただリニアは片道800円とかするんだけど、地下鉄初乗り60円ぐらい。日本のバス、電車はやたら高いといつも思う。
ホテルの最寄りの人民広場駅で降りて、てきとうな出口で降りたら、スパイラルエスカレーターのあるデパート、新世界が目の前にあった。今回の旅行の目玉であるスパイラルエスカレーター新規設置デパートは「新世界大丸」、だけど既存のスパイラルリストの中にも上海の「新世界デパート」とあって、GoogleMapで検索しようにも漢字でも英字でも全くヒットしないので、まぁ現地で探すわ、と思っていたのだが、探すまでもなく目の前にあったのでとっても感動する。
しかしこの感動を伝えたいのだがWiFiはつながってても噂通り本当にTwitterもFacebookもlINEも使えない状態なので誰にも伝えられない。最近ふだん全然SNS使ってないのだけど、一人旅がまったく苦でないのはSNSがあるからだったんだ...と10代の若者のように誰にもつながらなくてふるえる。
ホテルのあるのは南京東路歩行街。上海のレトロなホテルをリノベーションしてオープンしたリーズナブルなシティホテル、ということだったんだが、建物の中身は全部手が入っていてレトロさを感じる部分がゼロ。室内が綺麗なのはとてもよかったが、この南京歩行街っていうやつが朝から晩まで中国民謡(?)のBGM(しかも1曲をエンドレスで)がながれている上、人の叫ぶ声が始終するわ車の音もするわな賑やかを通り越して住環境としてはかなり凶悪な通りで、ホテルの部屋に入ってるのに「窓があいてるのかな?」と思うぐらい外の音が筒抜け。それにだけはちょっと閉口した。こんなので眠れるかしら...と思ったのは杞憂で毎日くたくたになるまで歩いてしっかり寝たので関係なかったといえばなかったけど。
錦江之星酒店 南京東路歩行街店(旧東亜飯店)[锦江之星酒店] | ホテル予約-上海ナビ
http://www.shanghainavi.com/hotel/14/
荷物をおいてもう1度、新世界デパートへ。
エントランスロビーに天井のオーバルとも呼応する形でシンメトリーにスパイラル配置。オーソドックスで好きな使い方なんだけど、このスパイラル、両方のぼりだった。シンメトリー配置で両方のぼりってけっこう斬新。
ひきでシンメトリーを正面から撮りたい・・撮りたい・・・と思うのだがご覧のとおりの人だかりでとてもパノラマぶんまわしてる余裕もなく諦める。
そう、とにかく上海、人が多いのと人が容赦なく割り込んでくる街であった。電車に乗る列を作っていても列のうしろから人がなだれこんでくる。私は日本の通勤電車ですら人を無言で押し合ったりするのが嫌いなんだけど、上海の電車はがんばって押し込んでいかないと一生乗れない感じだった。エスカレーターもしかり。片側をあけるように線がひかれてたりするけど、そんなの無視で両側にたつし、少しでも隙があれば割り込むし、常にぎゅうぎゅうになって人が動いていく。香港でも広州でもそんなことはなかったので上海独特の文化(?)である。
新世界デパートのてっぺんには変な球体がついていてかわいいんだけど、それにかぶせてもっと変な形のビルがうしろにみえてすごい。
ホテルの前をもう一度通って、南京東路をそのまま外灘方面に向かう。スタバにマックにユニクロにと世界的チェーンと、あまり魅力がわからないけど長蛇の列の老舗の土産物屋が同じくらい派手な看板で並んでいるのは、マカオ旧市街に行ったときのことを思い出す。世界遺産に登録されたポルトガル様式の美しい街並みは、1階だけが竹下通りみたいになっていて、下品なほど商魂に満ちた店舗が並んでた。建物だけならマカオと一緒だがほとんど物を売っている店がなくたまにあっても看板はおろか電気もついていなかったあの清貧のキューバのハバナ旧市街を思い出すに「毛沢東(?)が社会主義にしたかった理由わかるわー」とかてきとうなことを思う。
ちょうど歩行者天国が終わる場所に、調べてきた方の新世界、「上海新世界大丸」がある。全然知らなかったわけだがダブル新世界にはさまれてどっちも徒歩5分な位置にホテルをとっていたわけだ。昔から私はこういうところで運を使っちゃうタイプである。
ニュース記事で目にした通り、7階まで6基のスパイラルエスカレーターがある。おおー!これこれ!と思ったら、
その反対側にも同じ数のスパイラルエスカレーターがあって、「え・・・?」となった。そんなの聞いてねぇぞ。しかも、驚くべきことに、ここでも両方のぼりである。なんじゃそりゃ!
上から無理やりパノラマにしてみたところ。
計12基という、おそらく世界最多のスパイラルエスカレーターが集結する建物となっていたのだった。ここでもまだTwitterもFacebookもつながってなく歯がゆい思い。
あまり他では撮れないような光景が撮れるので、カメラ小僧orカメラ女子なみなさんにもぜひおすすめしたいスポットです。
天井ではでかい金魚が悠々と泳いでいた。なんなんだ一体・・・と最初は思ったが、上海のショッピングモールはだいたいこういう感じなのでじょじょに麻痺してゆきます。
上海の足場もやっぱり竹。でもビニールシートで几帳面に覆われているあたり、香港の奔放さに比べてちょっと日本的でちゃんとしてる感じがする。見慣れただけかもしれない。
そのまま道をまっすぐに進むと、黄浦江につきあたり、これぞ上海、という光景が見える。しかし日本人ならがっかり観光スポットに数えてしまうぐらい川が汚い。というかそもそも本当に日本人含め外国人観光客が全くいない。
渡し船に乗りたかったのだが乗り場が離れていて既に疲れてしまっていたので観光隧道というのに乗ることにする。
ちっちゃいゴンドラみたいなのに乗っていくのだが、ゴンドラひとりで独占してこれは結構楽しかった。
やはりほとんど中国人ばかりのテレビ塔へ。がんばって割り込まないと買えないシステムのチケット売り場で、レストラン食事券つきの入場券をゲットする。
レストランには60分ぐらい待って入れた。しかし今までの一人旅史上最高ぐらいに「え、ひとり・・?」「え、中国語わからないの・・・?」という顔を、係りの人にも相席になったファミリーにもビュッフェの人にもされたので結構しんどかった。どうしてそこまでがんばったかというとここが回転展望レストランだったから、なのだが、うまく窓際の席がとれなかったのでちょっと残念。みんなものすごい勢いで上海蟹とかをとっていくし席まで戻らずその場で立って食べてるおっちゃんおばちゃんの夫婦とかいるし、上海文化に1日目にしてやや疲れ始める。
黄浦江は離れてみると、いっぱいいろんな船が行き交っていて楽しい。
テレビ塔の1階の展望台は、おなじみスケスケスポットが、スポットではなく1周ぐるりと続いている。空を歩いているみたいで楽しいが、注意しないと本気でなにかはずれて落ちるかもな・・という気はした。
テレビ塔の周りはちょっとどうかしちゃったのかしらというぐらいの高層ビルがいっぱい。やる気のない曲がった写真ですみません。
やたらとロングエスカレーターの多かった香港とは違って、エスカレーターはわりと普通だ。ただし、ちょっとずつ角度をつけて重なっていることが多くてこれはこれで好きなスタイル。
テレビ塔がぴっかーんと光り始めたところで、やっぱり疲れてしまってそのまま地下鉄でホテルに戻った。