エスカレーターマニアの移動の記録

エスカレーターマニア。船に乗る人。原付で旅をします。

買ってよかった「偏愛本」2017

【お知らせ】 エクスナレッジさんから、エスカレーターしか載ってないすごい本が出ました。『すごいエスカレーター』フルカラー160ページ、ぜひ買ってね。よい本です。→『すごいエスカレーター』


ひとつのものに異常な愛情をかたむけ、同じものを集め続けた「偏愛本」が好きです。

 

2016年の偏愛大賞は「村上隆スーパーフラット・コレクション」でした。アカデミックなもの、アートなもの、薄い本、すべてわけへだてなく集めたい、というのが偏愛本集めの主旨です。

今年はそんなに買っていない気がするけどまとめてみます。

 

 ちなみに2016年はこちら。

blog.tokyo-esca.com

 

 

BURTYNSKY「CHINA」

China : The Photographs of Edward Burtynsky, édition en langue anglaise

吉祥寺の古本屋さんでたまたま目に入って、みんなみんな、この写真集、すごいよ!と思ったけどとっくにみんな話題にしてたことを5年越しぐらいで知った、という話が今年の2月にありました。出会うべきものには必ずちゃんと出会えるのだな、とわかったのがよかったです。

バーティンスキーさんはこういった「いきすぎた産業景観」を無批判にかっこいー!と思って撮っているのではまったくないのですが、かといって、「ダメな景観」としてのドラマチックな脚色も一切していない。結果として、そのような倫理的価値観は抜きにしてやっぱりどう考えても美しいよね、ということが浮き彫りになっています。

倫理的価値観を脇におく、という態度は、とても大切だと思っているので続けていきたいです。

下道基行 「torii」

torii

「日本以外の国にある鳥居」の写真集。といっても、仏像と違って鳥居のある国というのはかなり限定されている。具体的には、ロシア(樺太)、台湾、韓国。それぞれの国で、それらの「日本人がいた痕跡」に対する考え方というのがあまりにも違って、そのあまりの違いが如実に場所としてあらわれている、という本です。

 

絵巻じたて ひろがるえほん かわ

絵巻じたて ひろがるえほん かわ (福音館の単行本)

かこさとしさんの絵本の復刻版。夏に、隅田川をのぞむホテル「LYURO」に泊まったら、宿泊者用のシェア書籍としておいてありました。帰ってすぐAmazon先生でぽっちり。復刻版のほうをぜひ買ってほしいのは、全部のページがつながっていて、広げると「1本のかわ」にすることができるから。すごく楽しい。ちゃんと水辺のインフラがすべて描写されていて素敵なんです。まさに都市鑑賞。

高い山の雪どけ水や、山に降った雨から生まれた小さな流れは、谷川となって山を下ります。小さな流れは、ダムに貯められて発電所で電気を起こしたり、激しい水の勢いで岩をくだいて小さな石ころにしたりします。そして、やがて平野に出るとゆるやで大きな流れになります。田んぼを潤し、水遊びや魚釣りの場となり、いつしか大きな川になって、最後に海へとそそぎます。一つの川をめぐる自然と人間の営みを横長の画面いっぱいに細部まで描き込んだ絵本です。

絵巻じたて ひろがるえほん かわ|福音館書店

 

 

舟小屋

舟小屋―風土とかたち (INAX BOOKLET)

365日ほぼコミケLIXILブックギャラリーでも水辺関連の本はいろいろ買いました。こういう本を買ってしまうと行きたいところが増えて危険です。

特に、なかいさんがなんか見つけてきて無言で見せてきたこの本とかやばかった。自分で車を運転できるようになって、ひたすら日本海側の渋い漁港とか巡りたくなって困ります。

 

鉄道遺構再発見

鉄道遺構 再発見 (LIXIL BOOKLET)

こちらもLIXILより。橋脚本として買いました。こういう本をみると、やっぱり橋脚はかっこいいな!私は橋脚が好きだな!と思います。

 

WHO BUILT THAT?

Who Built That? Bridges: An Introduction to Ten Great Bridges and Their Designers

これは、青山スパイラルに行ったときについ買ってしまった、世界のかっこいい橋の絵本。イラストがめちゃくちゃかわいいんだけど、何年に誰がつくって、なんでこういう構造になっているのか、全部書いてあってためになる〜。ほかに modern houses と skyscrapers があるという、ツボをついたラインナップです。全部ほしいな、やっぱり。

 

Who Built That? Modern Houses: An Introduction to Modern Houses and Their Architects

Who Built That? Modern Houses: An Introduction to Modern Houses and Their Architects

 
Who Built That? Skyscrapers: An Introduction to Skyscrapers and Their Architects

Who Built That? Skyscrapers: An Introduction to Skyscrapers and Their Architects

 

 

月刊水中ニーソR 2017年9月号

月刊水中ニーソR・2017年9月号

水中ニーソは、水中にいるニーハイソックスを履いた女の子に萌えるという結構ガチな偏愛本で、私はこの号以外にもじつは密かに所有しているのですが(かわいい女の子が好き)、この号は原宿の街なかとの合成で、「まるで原宿が水中に沈んでしまったように見える」という、私がかなり好きなタイプのフィクションの世界が楽しめるため、とても楽しいです。

 

面向大海的十字架:花東海岸小教堂測繪紀實

www.books.com.tw

台湾の誠品書店では、教会の本を書いました。たぶん torii の本に触発されています。

他にかわいいタイルの本も買ったのですが、山Dさんの紹介されていた、「奇生之廟」に気づけなくて悔しい。と思ったら、一応発売前だったか。発売されていたら、台湾ではベランダめぐりじゃなくて、「奇生之廟」めぐりをしていたかもしれません。

 

www.books.com.tw

www.dempa-anshitsu.org

blog.tokyo-esca.com

 

FLAT HOUSE Style 04

FLAT HOUSE style 04

今年はじめて行ってみたけど、「おしゃれなコミケじゃないか!」と驚愕し、ものすごく散財してしまった東京アートブックフェアで、平屋の薄い本。おしゃれな薄い本としか言いようがない仕上がりです。

東京アートブックフェアは海外からの出展も多くて、台湾人の女性が電線の本とガソリンスタンドの本を売られていて、それももちろん購入してしまいました(どう検索したらいいのかわからない)。

 

ラヂオ塔大百科2017

タカノメ特殊部隊 「ラヂオ塔大百科2017」通販のご案内

夏コミ戦利品からはこちらを。周りのそれ系の人々はほとんど全員購入していた、ものすごく完成度の高い1冊です。「ラヂオ塔って、言われるまで気づいたことなかったよ……!」というこの世界に対する新たな驚きももちろんのこと、2014年発行のものに、情報を足した上で発行してくださってるので、これ1冊ですべて網羅!という親切設計がじつにコミケっぽくて素晴らしいなと思いました。

 

偏愛大賞:ジェレミ・ステラ『東京の家』

東京の家

『東京の家』は、東京の街中に点在する、有名建築家の手がけた住宅を、建ってる環境やそこいらを歩く人もあわせておさめた写真集です。「東京は世界的に見ても高層ビルが少なく、ほとんどを低層の住宅が覆う都市」という指摘にはっとしたあと、建築写真にはまず写り込まないいろんな人があえて写っているのがすごくよくて、何を撮るにせよ、いつも「人がいなくなるのを待ってから」撮っていて、それがセオリーと考えていた私は、ちょっとまた、写真に対する考え方が変わって、そしてずいぶん楽になれた本です。写真をあとから見返したとき、「いろいろ写り込んでる」ほうが、単純に旅行や移動の記録としては喚起するものが多いのは事実で、それから「なにかを見つけて写真を撮るとき、特にタイミングを待たずにシャッターを切る」ことが結構楽しくなってきました。そういう意味で、今年の偏愛大賞に。

 

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さいごに拙著の宣伝です

たぶん日本で唯一くらいのエスカレーター同人誌(エスカレーター専門サイトはちょこちょこ増えてきているように見受けられるので日本唯一を名乗るのをじょじょにやめます)、「別冊東京エスカレーター」はおかげさまで08まで刊行。直接、お手元に届けたいという気持ちが募り、直営店をオープンしましたのであわせてご覧ください。

 

また、大晦日は偏愛本の祭典コミケでぜひお会いしましょう。

blog.tokyo-esca.com