エスカレーターマニアの移動の記録

エスカレーターマニア。船に乗る人。原付で旅をします。

12/22 ソウルよれよれ旅行2日目:美術館をめぐる1日

【お知らせ】 エクスナレッジさんから、エスカレーターしか載ってないすごい本が出ました。『すごいエスカレーター』フルカラー160ページ、ぜひ買ってね。よい本です。→『すごいエスカレーター』


ソウルは本日も雨。

ゲストハウスの地下で朝食も出るとのことで、明洞に朝粥を食べに行くか朝食を食堂でとるかで迷っていたのだけど、起きたらすでに朝食タイムの終わっている時間で迷う必要がなかった。

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支度して出ると、美術館もあいてるぐらいの時間になってしまったのでそのまま南大門方面へ。市場を見てまわるが、韓国の市場というのは建物の中に密集した卸問屋街、という風情で非常に独特です。前に神戸で見た新鮮市場みたいだなぁと思いながら興味深くうろうろ。エスカレーターもある。しかし、買い物に関しては21世紀に海外で得する買い物をするというのはすごく至難の技で、日本でも結構同じ価格で手に入れられるのがほとんどであり、ショッピングで興奮することはほとんどなくなってしまった。

脇道の屋台でなにかつまむのがよい、と指南しているガイドブックもあったのだが、ちょっと難易度が高そうだったので、そのままソウル市庁の方向まで歩き、途中でお腹が空いたのでそのへんにあった食堂に入って粥を。ここの粥、カニの粥が20000ウォン(約2,000円)というのに驚いて、えっとじゃあ肉で…と牛肉の粥をチョイスしたのだが、同じ値段でアワビの粥があった。しまったそっちだったなぁと思いながら、来たものをそれなりに美味しくいただく。韓国の食堂というのはどこもほとんど同じで、早朝から夜遅くまで営業していて、真ん中に焼肉用の穴があってキムチなどの副菜が勝手に出てきて、取り仕切るおばさんらが無言で差し出す日本語メニューの中から、これ、と指さすと超スビードでメインが出てくる。しかしつくづく思ったのだがソウルってなんでこんなに寒いのにキムチばっかりなんだ。キムチで口が辛くなってるところにあったかいスープを飲むと口じゅう痛くて大変なことになり、当然汗をかいて外に出ると速攻で汗がひいてめちゃめちゃ寒い、という循環を繰り返していた。代謝をよくすることで寒さに強い身体になるとかそういうこと?たしかにこれだけ寒くて毎日雨に濡れてたのに全然風邪ひかなかったけど(調べたら3分ぐらいでわかりそうだが調べない)。

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ソウル美術館めぐりの行程については全てzaikabou先生のソウル日記を参考にさせてもらっております(いつものこと)。他にまとまった情報がなかったのでありがたいことです。

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ソウル市立美術館(SeMA)はソウル市庁の敷地内にあるそれなりに立派な建物。ルノワール展をやっていたのだが、ソウルでルノワール見てもな、と思い、常設展のほうだけ。ロビーに大きなナム・ジュン・パイクの展示があってテンションあがる。しかしカメラ禁止の札がいたるところに出ていたが、みんな気にせず撮っているし係の人も何も言わないので、カメラは禁止でスマホはいいってことかしら?とも思ったのだが、厳密な人は注意をしていたり結構アバウトな感じのようであった。常設展は1990年代の韓国美術を特集した展示で無料だったが、さすがに文脈が読めなさすぎてよくわからず。ナム・ジュン・パイクは文脈わからなくてもおもしろい。

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そのあと、すぐ隣の徳寿宮の中にある、国立現代美術館徳寿宮館へ……行こうと思ったら、GoogleMapだとすぐ隣に見えたがぐるっと塀で囲まれていて、門のところまで行かねばならないのですね。この石塀が、私の"ソウルっぽさ"を形成する大きなものへとこのあとなっていく。

 

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朝鮮王朝の歴史に明るくないのでさっぱりどういう場所かわからなかったのだが、近代的な建物もあって楽しい。そのうちのひとつが国立現代美術館。韓国のアーティスト、劉永国(ユ・ヨングク)さんの展示で、これはすごくおもしろかった。

劉永国(ユ・ヨングク)、絶対と自由

1916年に生まれ、1935年から東京の文化学院で学んだというヨングクさん、第一展示室は「東京モダン」というタイトルで、直線だけで構成されるミニマルな作品などを手がけていたのだが、だんだん韓国の伝統的な配色を取り入れた抽象的な作品に向かうようになり、そのあとはテーマがずっと「山」。ミニマルではあるが大胆な配色を取り入れた、迫力ある大きな山の絵がたくさん続いて、作家が自分の画風、を手に入れるまでの足跡をそのまま歩いたような気分になったのでした。

 

さて。ここから今度は景福宮の隣にある、国立現代美術館のソウル館に行きたいのだが、地下鉄で行こうとするとちょっと厄介。と思ったら、国立現代美術館の3館をつなぐシャトルバスがあるということで、ちょっと時間が先だったけど雨が結構つらいしまぁ待つか、と思い、「徳寿宮 カフェ」で検索をすると、隣のソウル市庁の最上階が展望台として解放されており、コーヒースタンドで安くコーヒーも買えるという有力情報を個人ブログからゲットする。行ってみたらきちんと日本語の看板も出ていて観光客もOKそう、が、エレベーターホールに入るにはみんなICカードチェックしているなぁと思ったのだが「展望台行きたいんですが」と指指すとおっちゃんがなにも確認せず開けてくれてセキュリティー…??と思いつつ最上階へ。うわー、ほんとに徳寿宮がばっちり見渡せる良いスポットです。

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あとこのソウルプラザっていう変な形の建物もよく見えた。


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何にも関係ないけど、韓国の「濡れた傘入れる袋」は、長い傘用と折りたたみ傘用とが必ずセットで用意してあって、「天気の悪い国仕様だなぁ…」とひとしきり感心したりしていました。なんか、エスカレーターしかり、ちょっとしたところがちょっとずつ違っている。

 

小一時間ぐらい休憩してバス停の場所はどこかしらといろいろ検索していて気付いたことに、ん、韓国って道路が右側通行だよね、このバス停の場所、逆じゃね?と思ったら、シャトルバス、反対回りであった。ソウル館→徳寿宮館→果川館という順路でまわっていて逆はなく、この果川館というのはカンナムのけっこうはずれにあるやつで今日行く予定にはしてない。Oh…。仕方なくGoogle先生にきくと、ふつうに、同じ道をシャトルバスの逆に行ってくれる路線バスが走っていた。なんだぁ。このあと、Google先生に聞いてソウル市内ほとんどの移動がバスだった。韓国のバスは前乗り後ろおりで、乗る時も降りる時も「T-moneyカード」をタッチして乗る。現金で乗るとか、チャージしなきゃいけないとかだとどうしたらいいのかよくわかんなかったが、たんまりチャージして乗る分には非常にわかりやすくて便利。「浜の6番」とか、「東急バスの22番」とかわけわからん体系になってる日本と違って全部が一貫した体系になってて、しかもLEDの行き先表示が見やすいし、バス停もデジタルサイネージで何番のバスが次くるか表示してくれるし。

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そんなこんなでバスはすぐ来て、すぐ着いて、国立現代美術館のソウル館。こちらはけっこう展示スペースが広くて、1階から地下からいろんな動線になっていてホワッ!となったりするのだが、覚えているのは「今年の作家賞2016」というやはりソウルの現代アーティストの展示(これは文脈わからなくてもおもしろいやつ多かった)と、「工芸のできるまで」という、韓国のあの金属の壺(器?)などがどーんと並んでいてそれの製造過程のビデオがあわせて見られるやつ、それに謎のコーナーに入っていったらなんかどんどん狭い部屋に連れて行かれて光と音のインスタレーションが広がってて印象的だったやつ(名前忘れた)。ソウル館はアートの展示だけじゃなくて研究とか学習とかそのほかいろいろ、を支援していまして、フードコートとかデジタルアーカイブ室とかなんか広大だった。ミュージアムショップ的なものもいろいろあって、韓国建築シールを購入する。

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さて。このあたり、三清洞/北村エリアは韓国の建築様式「韓屋」が残るエリアで、アートギャラリーやおしゃれなカフェもあり、とガイドブックにあったので、なるほど石垣や伝統的な建築などいろいろありますね、とブラブラするのだが、いかんせん雨が冷たい。途中で傘の骨が1本折れて頻繁にひっくり返るようになってしまったのも難義である(だいたい天気悪いところ旅すると折り畳み傘が壊れます)。ブラブラを早々に諦めてダンキンドーナツでぼーっとしたりしながら、次の仁寺洞エリアへ。

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ここは骨董品なども含めてジャンクなものから高級なものまでいろいろ集まる、明洞とはまた違うショッピングストリートなのだが、メインストリートは石畳ですごく綺麗になっていて表参道か?て感じでそれほど面白みがない。そしてガイドブックで気になっていた楽園商街というビルへ。これはすごくおもしろかった。道路をまたいで建っている市場で、感じとしては大阪の船場センタービルに近い。で、建物の中に入ってみるとずらーっと並ぶギター、ギター、ギター。楽器専門の市場で、ギターだけの店、アンプだけの店、ピアノだけの店…と延々に続いている。あ、なるほどだから「楽」園商街なのか。

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にしても、ソウルの市場はこのように同じものがひたすらずらーっと並ぶところが多くてすごく面食らった。日本だとどういう場所になるんだろうこれ。五反田TOCとか?そして、建物を抜けてみると裏にはバラックが並んでいて、地下に降りてみればいきなり生鮮品の市場と食堂があって、おもしろ〜と思いながら。ガイドブックはそこでご飯を食べることをすすめていたが(わけあって、食べ物に関して難易度高いガイドブックを持ってきてしまったのである)そんなの絶対無理なので、できるだけがんばらない派の私は日本語メニューもあるよと書いてある「里門ソルロンタン」へまた徒歩で。ここは本当にソルロンタンがメインらしくて。座ると、「ソルロンタン?」と聞かれ、そうだ、と頷くと15秒で出てきた。美味しかった。

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ソウルの偏愛本も手に入れておきたいよねぇとソルロンタンの店でソウルの本屋について調べたら、隣の駅ぐらいに教保文庫という大きな本屋があるとの情報を入手し、やっぱりバスで。これが、ちょっと広すぎ&地元の人向けすぎまして。蔦屋書店みたいな感じでまったりくつろげるカフェスペースなどもある感じのお店でして。地下だけど。そして香港、上海とちがって、英語や漢字でタイトルからあたりをつけることができない!ハングルオンリーの背表紙に一体これが小説なのか実用本のコーナーなのかさえもわからないよ…と呆然としながら店内を3周ぐらいして写真集コーナーを見つけ、執念で片っ端から開いて石垣の写真集を探し出し、あとファッション誌のコーナーで韓流スターの雑誌(大判ですごくかっこいい。ただこれはコンビニとか空港とかでもどこでも売ってた)を買いまして、うーん雨に濡れるなぁどうしよ、と外に出てみたら止んでまして。

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ここ、徳寿宮と景福宮をつなぐソウルの広い広いメインストリートなんですが、なにやら声がするなぁと思ったら、あ、デモの本拠地ここかぁ、というわけでして。今日も明日も雨予報で、王宮守門将交代儀式は雨天中止になっちゃうので土曜日にでもくるかなと思ってたのですが、うん、思い切りデモにぶつかるねという知見を得るなどし。

またバスで、ホテルにつづく坂道の1本横の大きな坂道をのぼっていったところに着くルートがあったので、等高線的に、坂道のぼらなくてよくて楽かも。と思ったのも束の間、こんな角度ありか!?ていうぐらいの坂をのぼってくだるチャレンジコースになっていました。ソウル、街の中心が「山」っていうの、なんかちょっとおもしろいです。