エスカレーターマニアの移動の記録

エスカレーターマニア。船に乗る人。原付で旅をします。

短いエスカレーターが好きだ

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先日、日本で2番目に長いエスカヒル鳴門のエスカレーターを観に行った際のタムラ家の結論は、「エスカレーター、長けりゃいいってもんじゃない」であった。よくわかっていない両親をわざわざ1日かけて連れて行ったわたしが言うのもなんであるが、駅の中では日本一長いといわれる大井町駅のエスカレーターでの経験から言って、まぁ予想できた結果である。エスカレーターというと、長いほうがもてはやされがちなので一応観に行ったが、ほんとうを言うとわたしは短いエスカレーターが好きなのだ。

って、なんで?
というわけで本日ここに、短いエスカレーター選手権を開催する。エスカレーター界での長さ信仰に警鐘を鳴らし、真のエスカレーターの魅力を追究しようではないか。

採点基準:

短いエスカレーターの素晴らしさとして、以下の3つの観点から採点する。参考までにスペックとして段数を記すが、長さ自慢ではないため判定基準外とする。

・是が非でもここにエスカレーターをつけようという心意気
・おもわず漂う「どうしてこうなった」感
・コンパクト故のかわいらしさ


  • エントリーNo.1 川崎 岡田屋モアーズ

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いきなりだが、世界一短いエスカレーターである。岡田屋モアーズの地下と、地下街のアゼリアを結ぶ。終日下り運転で、しかもその先は階段。これをネタだとおもっているひとも多いようだが、工事上のやむをえない都合によりこうなったと聞いている。それに、シャッターチャンスを狙ってかれこれ20分くらい観察していたところ、この通路はかなり人通りが多いうえにけっこう狭いので、下り側をエスカレーターにすることで右側通行を自ずと促進するという有意義な効果を生んでいることもわかった。
世界一のエスカレーターを前にしてアレだが、今回の採点基準では、このエスカレーターを基準点としよう。そうしちゃおう。

スペック         :4段/下り

心意気         :★★★

どうしてこうなった  :★★★

かわいらしさ     :★★★


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モアーズをみて、満足して帰るときに出会った。ここも十分短いじゃん!と思って興奮したのだが、数えるとモアーズの倍近くあり短さではかなわない。相手は世界一短いんだからあたりまえだ。川崎大師線などもあるので、高齢者向けの配慮とおもわれる。

スペック         :7段/上り

心意気         :★★★

どうしてこうなった  :★

かわいらしさ     :★★★★


  • エントリーNo.3 JR東京駅

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新幹線の改札に向かう「ちょっとだけ高い」スペース。微妙な高さ加減が新幹線のステータスを思わせる。エスカレーターがきちんと上下ついている点も好感度抜群。ただし、この段差は「それとなく気づかずのぼっている」ひとが多いので利用率は低い。

スペック         :6段/上下
心意気         :★★★★
どうしてこうなった  :★★★
かわいらしさ     :★★

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高いバリアフリー精神により、エスカレーターどころかエレベーターも完備のJR鎌倉駅の7段の段差。立派だ。そして1基独立のほうがかわいい、ということもある。

スペック         :7段/上り
心意気         :★★★★
どうしてこうなった  :★
かわいらしさ     :★★★★

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短いエスカレーターを集めるにあたって、「渋谷にあったよなぁ」と思って行ってみたんだけど、期待したほどは短くなかった。JRから京王線への乗り換えで、別ルートでスロープもあるし「なくてもいいのになぁ都会だナァ」と思いながらも毎日乗っていた。とにかく人通りがすごいので写真を撮るのがものすごく大変。

スペック         :9段/上り

心意気         :★

どうしてこうなった  :★★

かわいらしさ     :★


  • エントリーNo.6 大阪ハービスENT

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今回の傾向として、駅、そして地下道とのつなぎに短いエスカレーターが多いことがわかっている。ハービスENTは、地上はこんなものすごくオシャレなエスカレーターがある21世紀的ビルヂングであるが、地下の短いエスカレーターも手を抜いていない。素敵。


スペック         :8段/上下

心意気         :★★★★

どうしてこうなった  :★

かわいらしさ     :★★



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「このあともっと長いです」とおもわせる神戸ポートライナーの伏線的エスカレーター。こういうのも好き。


スペック         :12段/上下

心意気         :★★★

どうしてこうなった  :★

かわいらしさ     :★★★



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昨年「エスカレーター技術発展の歩み」という貴重な講演を聴きに行った国立科学博物館である。ロビーには展示物としか思えないシースルーエスカレーターがあるし、建物間のつなぎ部分もエスカレーター。階段と並列じゃなくて、エスカレーターオンリーであるところなんかがもう、素敵だナァとおもうのである。


スペック         :10段/上下/ひとり乗り

心意気         :★★★★★

どうしてこうなった  :★★

かわいらしさ     :★★★



  • エントリーNo.9 伊勢丹新宿店 新館

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伊勢丹新宿店は、新宿の地下街とのつなぎにも短いエスカレーターがあるが、こちらは新館のあまり知られていないほうのエスカレーター。ひっそり短い。


スペック         :11段/上り

心意気         :★★

どうしてこうなった  :★★

かわいらしさ     :★★★



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日本初の丸ボディエスカレーターのある、日本橋三越も新館からご紹介。長さは短いが全く手を抜いていない装飾具合など天晴れである。


スペック         :8段/上下

心意気         :★★★★

どうしてこうなった  :★

かわいらしさ     :★★



  • エントリーNo.11 新宿三越

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「デパートの地下と地下道のつなぎ」3連続であるが、新宿三越はすぐそこが駅なのと、「入り口がそのまま階段」というひねり技がちょっと不思議な感じでオススメだ。


スペック         :8段/下り

心意気         :★★

どうしてこうなった  :★★★★

かわいらしさ     :★★



  • エントリーNo.12 ホテル フローラルイン難波

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大阪の大通りに面したホテルだが、たまたま見かけたら入り口がエスカレーターオンリーでしかも下り運転だったので仰天した。時刻はたしかに早朝のチェックアウト時だったが、「あ!忘れ物!」という場合に逆走しなくてはいけないのではないかとおもうと心配である。ちなみに、「チェックイン時はのぼり運転でした」という目撃情報が入っている。ほんとうに、どうしてこうなった。


スペック         :12段/チェックイン時上り、アウト時下り/ひとり乗り

心意気         :★★★

どうしてこうなった  :★★★★★

かわいらしさ     :★★


さいごは、優勝候補3基。

  • エントリーNo.13 大阪の雑居ビル

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これは、最近よく泊まる大阪のカプセルホテル(DPZラジオでも話題になってたおしゃれカプセルホテル)の入っている雑居ビル。6段とは、なかなかの実力である。歩き疲れへとへとになってたどりついたホテルでこういうサプライズが待っているとほんとにうれしい。


スペック         :6段/上り

心意気         :★★★★

どうしてこうなった  :★★★

かわいらしさ     :★★★★★


  • エントリーNo.14 丸の内OAZO

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これはぜひその置かれている状況とセットでご覧いただきたいのだが、都内でも指折りの大吹き抜けエスカレーター空間の、片隅にひっそりたたずむミニエスカレーターである。ひとり乗り。ふだんは省電力のため、ゆっくりゆっくり動いていて、たまに人が乗るとびっくりして速くなるのだが、速くなりきらないうちについてしまうくらい短い。なんだかもう、どうしてこうなった。


スペック         :12段/上り

心意気         :★★★★

どうしてこうなった  :★★★★★

かわいらしさ     :★★★★★


  • エントリーNo.15 行幸通り地下

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皇居へ通じる行幸通りの地下。土日など、ひとがぜんぜんそっちには進まないので、いったいどこに出るのか不安な感じを誘うのだが、上下運転で、どうぞ、とエスカレーターをつけているあたり、実に品格漂う雰囲気である。そうだな、行幸通りだし、つけないわけにはいかないよな、という、心意気の点でピカイチだとおもった。


スペック         :10段/上下

心意気         :★★★★★

どうしてこうなった  :★★★

かわいらしさ     :★★★★★


まとめ



まず「短い」限定でまとめていたのに15基にもなって、さすがにエスカレーターばっかり追いすぎだなと思った。それに、地下のエスカレーターの場合、地上のことも言いたくなったりするので、過去記事にリンク貼りまくり、最近のエスカレーター記事総まとめみたいなことになってしまった。

採点基準の★はまじめにつけたのだけれど、それぞれのエスカレーターにそれぞれのよさがあるので優勝はこころの中にしまっておきたい。短いエスカレーターが素晴らしいのは、乗降部、傾斜部というエスカレーター全体の構造がひとめでみわたせ、その一瞬の乗降体験のなかでダイナミックな動きの変化が感じられ、その壮大さはまさに宇宙...

とか、まとめが苦手なのでろくなことになっていないが、短いエスカレーターやっぱり好き。

 それと、写真をこうやって並べてみると、「都会の地下ってなんでこんなに微妙な段差だらけなの! おもしろすぎ!」と、段差ファンとして目覚めた気がする。