一度じっくり作品を巡りたいと思っていた「大地の芸術祭」の里、越後妻有へ。
宿泊先は、『醸す森』。交通手段は原付カブ。
山道が多いので、原付は効率的に作品をめぐるのに最適なモビリティ(zaikabou先生はよく自転車で行ってるが素人はやめたほうがいいとおもう)。
大地の芸術祭は、2021年に開催予定だったトリエンナーレが延期になってるが、トリエンナーレがない時でも共通パスポートが用意されてたり、屋外に恒常展示の作品も多いので楽しめる。トリエンナーレ延期なものの、新しい作品がまた増えてるみたいなので、また行きたいな。
山の中なので涼しいし、夏休みにちょっと遠出するのには本当にのんびりできていいところだ。
清津峡渓谷トンネル/Tunnel of Light
日本三代峡谷のひとつであるらしい清津峡。柱状節理の大景観が国の名勝・天然記念物にも指定されている。ここにあるトンネル、何かの廃道とか、インフラ構造物なのかと思っていたら、清津峡を見に行くための道があまりにも険しく、事故が続出していたために作られた、観光用のトンネルなのだそうだ。へー。
2018年の大地の芸術祭でMADアーキテクツにより大改修が行われ、一大映えスポットとして人気を集めている。
その温泉街の一番奥に、モダンな施設が出現。この建物もMADアーキテクツによるもの。
トンネルの入り口はこちら。柱状節理風。
ここでチケットを買う。共通パスポートもここで売ってもらえる。
元々が観光トンネルなので、途中に「見晴所」がいくつか設けられている。
\柱状節理/\柱状節理/
第二見晴所 ここにも作品がある。今年、新作も発表されるそうだ。
\柱状節理/\柱状節理/
やや草間彌生みのある第三見晴所
そして終点、パノラマステーション。峡谷の景色が水面に映り込んで綺麗な円になる。
2020年の8月後半、予約必要ない期間に行った感じでこのくらいの人出だったのだが、空気を読んでみんな順番に撮影するので、誰もいない瞬間とか、自分だけの写真とかも撮れるぞ。(カップルに何度か撮影頼まれた)
誰もいないとこう。円の形が綺麗。
でも人がいる状態も良い。
\柱状節理/\柱状節理/
たくさんの失われた窓のために
内海昭子。窓を通して妻有の景色を再発見する作品。
日本に向けて北を定めよ
制作者リチャード・ウィルソンのロンドンにある自宅をもとに、実物大の構造だけ、方位を保ったまま妻有に移動させたという作品。道路に突如、鳥居があって「なんじゃ!?」と思ったがそれは特に関係ないようだ。ただ、水平・垂直がよりはっきりするので作品との対比が面白い。
トヤ沢砂防堰堤
2018年の大地の芸術祭で、磯辺行久による「土石流のモニュメント」が設置された場所。土石流のモニュメントは残念ながらもう展示はないのだが(現役の砂防施設だしな)、砂防堰堤の構造自体がかなりアート的。
アート作品ではないのだが堂々たるオーラを放つ砂防堰堤。
カブとの大きさ比較をしようと思ってひいてみたところ。かっこいい。
きっちり説明看板もたっている。
最後の教室
先日逝去されたクリスチャン・ボルタンスキーによる廃校となった小学校の校舎を利用した作品。ボルタンスキーの作品は瀬戸内にもあるが、日本に素敵な作品を残してくれてありがとう。
まつだい農舞台
オランダの建築家グループMVRDVが設計した建物。
館内のまつだい里山食堂でご飯を食べよう、と思って寄ってみたのだが、2020年は里山ビュッフェがなく、代わりに購入したお弁当を作品の中で食べることができる仕組みでこれも面白かった。
購入したお弁当をもって、怪しげな作品エリアへ。
怪しげな鬼?たちと相席できるテーブルもあった。
「農舞台」の周辺には、作品も集まっている。これは、我らが草間彌生先生の『花咲ける妻有』
小沢剛「かまぼこアートセンター」
十日町市博物館
2020年6月にリニューアルオープンしたばかりでなかなかいいぞ、と聞いていた十日町市博物館に寄り道。
十日町市は縄文時代の土器がざくざく出土している場所で、教科書で誰しもみたことがある国宝・火焔型土器が常設展示されている。
真新しい建物、大変かっこいい。
火焔型土器の一部を象ったベンチである。
とにかくざくざくと縄文時代の土器が出土している十日町市なのである。
なんだこれ。
実物大・実際の重さの火焔型土器を持ち上げてみることができる体験コーナーもあって、楽しいぞ。
そしてこちらが実物です。溢れ出る国宝のオーラ。
越後妻有里山現代美術館
元キナーレ、2021年にMonET(モネ)としてリニューアルオープンした、越後妻有里山現代美術館。設計は我らが原広司氏。(エスカレーターはないです)
さまざまな作品が集結していて楽しい。
レアンドロ・エルリッヒの「トンネル」。あ、そういうことなのか!という感じで、楽しかった。
建物の回廊に囲まれたこのプールも、レアンドロ・エルリッヒの作品「Palimpsest: 空の池」なのだが、2020年はなんとじゃぶじゃぶプールとして利用できるようになっており大人気。
しかもチケット持ってる人はSUPに乗れる!なんだと、乗るぞ。
お子様に混じって楽しんできた。水深がすごくあるわけじゃないのだけど、浮遊感があって楽しい経験だった。立たずに膝立ちで漕ぐように、ということで、SUPを膝立ちこぎするのは得意中の得意なので、親子連れに「なのあの人、めっちゃ速い……」と若干引かれたりしてた。
アスファルト・スポット
R&Sie設計事務所。周辺に「アート作品です」というサインが目立ってあるわけではないので、突然駐車場が波打ち始めた……!という風にも見えなくない、個人的ツボ作品。
ステップインプラン
「醸す森」に向かう途中で見えたので、松之山温泉の看板、めちゃくちゃ洒落てんな?と思っていたら作品のひとつだった。実際に登ることもできるらしいぞ。
星峠の棚田
最後にちょっと景色のいいところへ。青々とした棚田はTHE日本という感じ。
北海道から帰ってきたばかりなので、越後妻有の里山をカブで走り抜けるのは、すごく「日本だな〜」という感覚が強かった。アート作品を巡りながらいろんな場所を走ることで新しい発見もたくさんあるので、こういう芸術祭はとても好き。