この旅最後の宿泊地である大分県日田市へ。
旅に出る少し前、九州は令和2年7月豪雨で大きな被害が出ており、大分から湯布院、日田を通って久留米へ向かう久大本線も一部が不通、大分から日田へ電車でのアクセスは断たれている状態であった。別府からの高速バスで向かう。
そんな時期に、特に用事もなしにのこのこと観光しに行っていいのか?ということなのであるが、このときに関してでいうと、全く問題はなかった。電車は止まっているものの代替バスが運行、被害を受けた川沿いのホテルも日田では既に復活していて、観光ウェルカムの状態。色々な状況があるとは思うが、地震や豪雨など自然災害のあった地域の観光業は、その後の長期間に渡っての風評被害(善意の自粛を含む)がより深刻である、ということを知った。
と、かっこつけておいてなんだが、湯布院よりさらに先、大分の内陸部にある日田については、ほとんど全く知らない土地であった。日田駅に新しくオープンしたゲストハウスがADDress拠点として登録され、「川沿いの素敵な温泉街」という情報だけを得て、たぶん好きな感じの場所だろうなと思って現地へと赴いたのだが、予感通り、大変好きな感じの場所だった。
2019年4月にリニューアルして綺麗になっているJR日田駅。HITAのIが抜けているのは風で飛ばされたのではなく、そこに自分(=I)が入って写真を撮るためである。洒落ている。
こりゃ明らかにどこかのデザイン会社が絡んでいるねとわかるオシャレ具合である。
この洒落た駅舎の2階に、洒落たカフェと洒落たゲストハウスがある。
こちらカフェ。
こちらゲストハウス。
日田は明治以降、木材の生産でも有名ということで、なるほど至る所に木が使われているんですねぇ。
ゲストハウスは全貌がこれであり、リビング、シャワールーム、洗面は共通で、仕切りの向こう側にあるドミトリーベッドと個室をそれぞれ利用する、というものだったのだが、それほど宿泊者がいなかったので良いものの、フル宿泊だとなんかすごい人口密度にならないか!? という感じの宿であった。コロナ禍の中でオープンしたてという厳しい状況だったが、頑張っていただきたい。
さて、日田は江戸時代初期から天領地となった場所である。九州の交通の要衝であり、政治経済の中心地として栄えた。まずはそんな「天領日田」の街並みが残る豆田町の散策へ。
筑後川の舟運も盛んで、街並みの中にも運河が張り巡らされていて、「港町」という地名も残っている。
家と家の間に水路がある街、好きだ。
かつての街道沿いに、雰囲気あるお土産屋さんがたくさん並ぶ。
商業中心っぽく、こういうかっこいい土蔵もたくさん残っているよ。
「日田天領水」というブランドで売られているが、水が美味しいことでも有名で、水が美味しいところには何があるかというと、超絶老舗の酒屋さんがある。
酒は薫長。かっこいいね。
中の見学もさせてもらえた。
こちらは、儒学者の広瀬淡窓が創設した私塾「咸宜園跡」
建物がちょっと可愛い。
続いて、川沿いの隈町へと向かう。隈町も豆田町と同様にかつては城下町だったということらしいのだが、現在はすっかり川沿いの温泉街に。温泉街としてはお隣の天ヶ瀬温泉の方が有名なのだが、こちらもなかなかいいところだった。日帰り入浴可能な旅館もあるので、2日連続でお風呂に入りに行ってしまったね。
川沿いにずらっとホテルや旅館が立ち並ぶ隈町。1日目は亀山亭ホテルさんへ。
温泉こちら。三隈川を望む最高ビュー!
2日目はみくまホテルさん。
ロビーは一部、浸水被害によりガラスが仮だが、宿泊も日帰り入浴も営業されていた。
脱衣所では日田天領水のお茶、飲み放題の優しい心遣い。
こちらも最高ビュー!
こんな最高ビューなんだが、いずれも数百円で日帰り入浴できてしまって、ありがとう、日田。という気持ちでいっぱいになった。
ちなみに日帰り入浴可能な旅館一覧は、日田駅前の観光案内所でもらえるのでぜひ入手してください。
同じ観光案内所で、「日田夕涼み無料リバークルーズ」という魅力的なチラシを手に入れてしまい、半信半疑で予約してみたら、乗れることになったので、乗り場へ。
三隈川沿いの旅館のほとんどが屋形船を持っていて、ホテル直で乗れるようになっているのである。
こんな感じに。
日田の屋形船はちょっと変わってて、細長い舟(夏の風物詩である「鵜飼」の舟っぽい)2艘を繋げて、その上にどん、と屋根付きの部屋を乗っける仕組みで、東京の屋形船よりだいぶ開放的だし、椅子席だし、写真も撮りやすいし、この船いいな!
みくまホテルさんのめちゃくちゃ眺めのいいお風呂はあの出っ張ったところだな。
対岸にも、屋形船、たくさん。
船を降りて、かつて城のあった亀山公園まで川沿いを散歩。この遊歩道の雰囲気。いかにも川と付き合いの長い街という感じでいいですね。
児童公園の中にも三隈川っぽい流れが再現されていて、いい感じであった。
日田、美しい水の流れを身近に感じられる、夏に訪れるにはうってつけの良い街だった。