児島にしばらく滞在して、なんとなくその辺りを散歩しているうちに、だんだんと解像度が上がっていく体験はおもしろかった。
ざっくりいえば、
もともと海→干拓で土地ができる→土地に塩分が多いため綿業が盛んに→北前船の寄港地として栄える(下津井港)→塩田が開かれる→塩田跡地に児島駅ができて商店街が廃れる→ジーンズストリートとして再生
と、いろんな歴史が重なっている土地なのだ。
ジーンズストリートの一角にある「旧野崎家住宅」は、江戸時代後期にこの辺り一帯に塩田を開き、「塩田王」と言われた野﨑武左衛門の家。
港町にはこういうお金持ちの家がよくあるので、他にもいくつか見学したことがあるが、野崎家はちょっと桁外れなお金持ち具合であった。
ふら〜っと立ち寄っただけだったのだが、手持ち無沙汰にしていたボランティアガイドさんが「それではどうぞこちらへ」とマンツーマンでご案内してくださったので、細かく詳細を教えていただくことができた。
野崎家がどのぐらいお金持ちだったかというと、明治の貴族院に「多額納税者」枠で岡山代表として出ていたそうだから、このお金のあり余りっぷりにも納得である。ちなみに現在も、「ナイカイ塩業」として味の素の「瀬戸のほんじお」を作っているとのこと。