鶴巻温泉から、鎌倉を経由して南房総へという、すっかりおなじみのコース。
フェリーに乗って金谷港についたらおなじみの「海辺の湯」でちょっとゆっくりしてから行こうと思っていたのだが、乗る前の久里浜港到着の時点ですでに雨でびしょ濡れになってしまった。カッパを着てたにも関わらず。どんなにいいカッパを買っても、ある程度を超えると一気に意味をなさなくなるのは人生の真理である。まぁ私が持ってるのはそんなにいいカッパでもないが。このあと7月いっぱいずっと続いた長雨では、うまく晴れ間を縫って移動できることが多かったので、この日が一番濡れたかもしれない。仕方なく久里浜側の「海辺の湯」。金谷側と同様、露天風呂からは一面、海が見えるのだが、久里浜港には海辺にがっつり工場があるので、どちらかというと工場ビュー。
鄙びたのんびりした雰囲気がなんとなく香港のスターフェリーを思わせる東京湾フェリー。降りてから、国道127号をずっと南下していくルートもすっかり慣れたものである。今日は、新しく拠点として登録された、館山のTUNE hostelへ。
元診療所をリノベしたというホステル。使いやすい大きなキッチンに、リビングにコワーキングスペース、屋上と、居場所がたくさんあって長期滞在にやさしい。
富浦の拠点に泊まったときにも館山にはカブで何度か来た。大きなイオンとか、ロードサイドの人気のローカル回転寿司とか、スパとか、リゾートホテルのならぶ海岸通りとか。車で巡る館山は地方のリゾート都市という雰囲気だったけど、今回は駅から徒歩圏内のホステル。前来た時には通らなかった駅前の小さな路地をウロウロ、歩きまわる。
館山駅のほぼ目の前に、「館山中村屋」という、パン屋さんがある。駅前にならぶお店の中で、わざわざ車でパンを買いに来る人も多くて、地元の人たちでひときわ賑わっているお店。「新宿中村屋」と「中村屋」の字体がほぼ一緒なので、どういう関係なのか調べてみたら、もともと本郷にあった中村屋が大正期に暖簾分けした店舗だそうで。このあたりに別荘を持っていた本郷のお金持ちたちが、「館山でも美味しいパンが食べたい」と要望したことからこの地に出来たという(とどっかのサイトで読んだのだがどのサイトで読んだか忘れてしまった)。大磯に行ったときも思ったが、日本の「別荘」の文化って実はすごく豊かなので、田舎だと思ってバカに(?)していると、めちゃくちゃ洗練されたものがそこにはあったりする。
2階に併設されている「喫茶室」で、かなり昔から変わらないメニューなのだろう、ホテルパンとビーフシチューのセットをいただく。
ADDressと提携するホステルは、地元への想いを持って運営されているところが多いので、TUNE hostelもまた然り、なのだが、びしょ濡れで登場した私にハンガーいっぱい持って来てくれたりとか心遣いの温かさがありがたかった。外国人旅行客がほぼゼロになった影響でお客さんが少ない……のかと思いきや、割と当日でも泊まりに来る人がいる。自転車で東京湾を渡って来てたどり着いたところに泊まる、というような旅をしている人がいたりするようだった。あとは、逆に世界一周しようと思ってたけどできなくなってしまった日本人バックパッカー、というような人が各地をウロウロしていたりもする。私は例によって特に何の目的も意味もなく、移動して、仕事して、の毎日。
中村屋だけでなく、三越の概念を覆すような三越もあったりする。
どこの地方の駅前でも必ずあるタイプの洋食屋さん、館山は「モンカレー」というカレー屋さんだった。ここもとても良い雰囲気。
駅から続く商店街に、和菓子もケーキも両方売っているお菓子屋さんがあって、何を食べても美味しかった。