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8/12 C92 土曜日 東5ホール ヘ-39b 「東京エスカレーター」出展のお知らせ - TOKYO ESCALATOR BLOG

 

成功と挫折のあとに辿り着いた成果『アメリカン・ギャングスター』

『エイリアン』のリドリー・スコット監督の『アメリカン・ギャングスター』を今さらなんとなく鑑賞。単純にめちゃめちゃおもしろかった。157分もあるのだが最後まで唸りどころのあるストーリー展開に引き込まれた。 

 

 

 

舞台はベトナム戦争末期のニューヨーク。戦地から軍用機で直接純度100%の麻薬を仕入れるという方法で、元ギャングスターの運転手という地位から一族を率いて一気にハーレムでのし上がる、フランク。かたや、ニュージャージー汚職のはびこる警察署内で賄賂の金を1ドルも盗まず摘発しちゃった警官、リッチー。リッチーは相棒を麻薬中毒で亡くし、相棒を死に追いやった新しい麻薬の卸元、謎の黒幕をとことん追い詰めることになる。

 
と、あらすじを書くと、この2人のライバルとしての対比が軸になるのだな、と思いきや、何重にもねじれた一筋縄ではいかない人物造形が見事だ。フランクは、ギャングスターにあるまじき生真面目さと家族愛とを持つ好ましい人物として、逆に生真面目な警官であるはずのリッチーは、私生活では女にだらしがなく、家庭をかえりみない男として描かれる。しかしフランクは成功の頂点へ登りつめると同時に、その崩壊の不安に苛まれ家族との間に亀裂が入るようになり、リッチーもまた、フランクを追い詰めれば追い詰めるほど、警察内部からはもちろん、親友からさえ脅迫、懐柔され、孤立を深めていく。対比して描かれている2人が、徐々に境遇を同じくし、同化していくのだ。
 
リッチーが黒幕の存在を「初めて」意識する場面、フランクに「初めて」目をつける場面、2人が「初めて」出会う場面は、だからとても印象的に演出されている。
 
そして、そのまま終わると見せかけての、エンドロール直前での脱構築。ここではネタバレしないのでぜひ確かめてみてほしい。
 
久しぶりに、「おお」と声の出る、スカッとする映画だった。