TOKYO ESCALATOR BLOG

エスカレーター専門サイト「東京エスカレーター」の旅行記です。なかの人は田村美葉です。

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別冊 東京エスカレーター 07

 

【まとめ】弱い親の系譜 - 家族の関係に疲れたときに読みたい物語まとめ

内田樹先生が以前、村上春樹解説本で言っておられたことですが、物語は「絶対的な父なるもの」との闘いの構造を持つもので、(村上春樹氏がグローバルな作家となれたのは父なるものを描かなかったから、とお話は続くのですがうろ覚え)『フォースの覚醒』でダースベーダーとの闘いが延々と繰り返されるのを見たりすると、「おお、またやっておるな」という感じで安心できるわけです。反対に、「絶対的な父」ではない、「弱い親」の出てくるお話は、構造が弱いというかねじれているので、いずれも奇妙でしかし稀有な読後感を残したりします。

というわけでここにまとめ。
 

父の不在の系譜

 絶対的な父なるものが一切登場しないと途端にクローズアップされる「母親の狂気」。

 

『サイコ』1960年、アメリカ

サイコ [DVD]

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アメリカには『サイコ』があるので母親の狂気についての共通認識が持ちやすく羨ましい。

 

『キャリー』1976年、アメリカ 

 母親がアレなだけでこんなにもパワー爆発していろいろできちゃうのかと元気になれる作品。

 

ブラック・スワン』2010年、アメリカ 

母親がアレなだけでこんなにも美人なのに処女が捨てられず苦悩したりするのかと元気になれる作品。
 
夢の温度
夢の温度 [夏祭り] (FEEL COMICS)

夢の温度 [夏祭り] (FEEL COMICS)

 

 サイコやキャリー並に強烈なお母さんが出てきます。トラウマ注意。

 

弱い父親の系譜

かわって日本では、父親ってなんかよくわからない、という作品がけっこうあったりする。
 

花男

花男(1) (ビッグコミックス)

花男(1) (ビッグコミックス)

 

昭和の父親像に対するおとぎ話的アンチテーゼ

 

バケモノの子

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花男を参照したのかな?てくらいよく似てる、父と息子の関係。強さの賛美。シンクロニシティの賛美。

 

愛されない娘の系譜

母娘関係の特殊性について論じるのは斎藤環先生ですが、その関係性のひとつである「母親に愛されない娘」を描く作品。
(参考書籍)母は娘の人生を支配する―なぜ「母殺し」は難しいのか (NHKブックス)

 

千と千尋の神隠し』2001年、日本 

千と千尋の神隠し [DVD]
 
母親に愛されず育った娘が母親と和解したりなんかすることなく勝手に強くなる作品。

 

イグアナの娘』1992年、萩尾望都小学館 

イグアナの娘 (小学館文庫)

イグアナの娘 (小学館文庫)

 
 イグアナ状態の娘がかわいいのでほんわかする作品

 

空中庭園』2002年、角田光代文藝春秋 

空中庭園 (文春文庫)

空中庭園 (文春文庫)

未解決だし、リアルすぎて重いという欠点はありつつも、母娘問題に逃げずに正面から挑み続ける作家。

 

おおかみこどもの雨と雪(レビューあり)  

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家族とはこうあるべき、母親とはこうあるべき、という世間の常識をぶっこわし、ただ共に生きることの感動と喜びを全力で表現する力強い作品。

 

あまちゃん

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父不在のなかの母娘の確執がこれでもかとつまっていながら、暗くならない。親子三代を登場させたことで、かつての母の相似形としての娘、という、ちょっと不思議な関係が生じたことが影響してる。のかも。

 

映画『海街diary 

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父の不倫と母の身勝手さにそれぞれ苦しめられた姉妹が交流することで、自分の中にある「正しさ」を脱構築する。 

 

弱い親と赦しの系譜 

親なんて強くもないし家族なんて時々狂っているけどそれでもなんだかんだ生きてかなくてはならないよ、と単に受け入れる、強い作品。

 

きのう何食べた?』2007年~、よしながふみ講談社

きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

きのう何食べた?(1) (モーニング KC)

 

金のかかる趣味に走ったり宗教にはまったりと日常に潜む母親の狂気とそれへの対処をかなり正確に淡々と描く作品

 

昭和元禄落語心中』2010年、雲田はるこ講談社(レビューあり)

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最愛の娘を産んでも強くもならないし救われたりなんかもしないダメ親がむしろ愛しくなる。親のダメを描くだけでなくそれを許すという偉業をしでかす作品。

 

番外:強い父親

ジュマンジ

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 強い父親が出てくる作品の例としては圧倒的に『ジュマンジ』がわかりやすい。続編の『ザスーラ』とちがって、映画版も非常に手がこんだつくりになっていておもしろい。 

 

 BANANA FISH 

吉田秋生さんは マッチョな「THE・父殺し」なアクション漫画を多く描かれてきた方。最新作の『海街diary』も、映画版とは違って、四姉妹がたたかっているのは主に不在の父の価値観とである。