船とエスカレーター

船に乗ったりエスカレーターに乗ったりする旅行記中心のブログです。なかの人は田村美葉です。

映画・アニメ・ドラマ

映画『火垂るの墓』感想:節子が象徴するものってなんだ

夏なので、『火垂るの墓』を観ました。 おそらく20年ぶりぐらいでしたが、衝撃だったのは清太さんが映画冒頭で死んでいたことです(冒頭カットバージョンがあるそうなので、前回見たのはカットバージョンだったのかも)。勝手に、妹を亡くしたあとはひとりで…

映画『美女と野獣』感想:マイノリティの恋愛について

実写版の美女と野獣を見て、大変に感動してしまった。 たしか美女と野獣は子どもの頃に劇団四季のミュージカルで見たことがあったのだけど、まったく違う見方をし、まったく違う移入の仕方をしている自分に驚いた。 簡単に言えば、エマ・ワトソン氏演じるベ…

「からっぽの女の子」が世界を救うアニメ『けものフレンズ』は、ほぼ『あまちゃん』

『あまちゃん』を放送から遅れること2年後、NHKオンデマンドで全話ぶっとおしで見て人知れずあまロスになった悲しい思い出からここぞとばかりに盛り上がりに乗じています。 『あまちゃん』(故郷編)と『けものフレンズ』の類似点はこんな感じです。 ・主人…

『君の名は。』の破綻しない全部盛りと『ユーリ!!! on ICE』の反復ともう一度『シン・ゴジラ』と(言葉にならない『この世界の片隅に』と)

2015年のベスト映画は『はじまりのうた』と『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で、この2つは私にとっての「上京」を確かめなおす、というような大切なものになった*1。 2016年はずっと菊地先生の連載を読んでおっかけていたので「映画」…

大泉洋が好きすぎてつらい『駆込み女と駆け出し男』感想

『真田丸』をきっかけに(遅い)大泉洋が好きすぎてつらい私は、洋ちゃんの出てる作品を水曜どうでしょう全話一気見に始まり、ありとあらゆるものまで見ている最中なのだが、この作品は「大泉洋」を堪能するための作品として現時点でトップレベルであった。…

これは恋の物語なのか?『最強のふたり』感想

脊髄損傷で首から下を麻痺した大富豪フィリップと、移民の介護人ドリスの友情の物語。フィリップとドリスの、ふたり一緒に過ごした幸せな時間が、本当に幸福すぎて、観ている最中「ずっと終わってほしくない」と思っていた。フィリップのためを想うドリスの…

闘病記録としての『トゥルーマン・ショー』

今年の芸能界ニュースで私にもっとも衝撃的だったものといえば、現時点でSMAP解散ではなく「ASKAの日記」騒動だ。 それは、元チャゲ&飛鳥のASKA氏が、統合失調症の一症状と思われる「集団ストーカー」「盗聴」の妄想に取り付かれ、取り付かれたまま周囲の制…

私はゴジラとともに生きている 『シン・ゴジラ』感想(ネタバレあり)

いい映画を観て、観るべきだとか、観てほしいとかオススメする趣味は私はないのだが、何度も観たくなる映画だ。 以下ネタバレ多め。

母娘関係のメジャー化と脱構築 映画『海街daiary』感想

吉田秋生さんといえば、『BANANA FISH』に代表されるような、「THE・父殺し」のマッチョなアクション漫画を描く方、という印象であるが、最新作の『海街diary』は、鎌倉の街を舞台にした日常を丁寧に描いた、今までの作風とは少し違った作品である。 海街dia…

心の真ん中にどかんと居座る暴力的な愛『バケモノの子』感想

おおかみこどもの雨と雪、につづいて、普通とはちょっと違う家族のお話をファンタジーを通して描いたシリーズである。娘である雪の気持ちにも、花の気持ちにも簡単に移入できたおおかみこども、と違って、ただただ父親に対しては「娘」でしかない私は傍観者…

残された者として、どう生きるか- 映画『オデッセイ』感想

火星にひとり取り残されたマーク(マット・デイモン)が、絶望的状況の中でも希望を失わず、生還に向けて努力する話。 軽快なディスコ・ミュージックが常に流れるSF、というちょっと新鮮なジャンルで、クスクス笑いも漏れ、楽しく鑑賞した。 www.foxmovies-j…

自分自身の尊厳のために誰かを愛すること - 映画『キャロル』感想

eiga.com これは恋愛映画ではない。 誰かを愛することで、自分が自分らしくあるための覚悟を描いた、美しい映画。

娘が父に贈る歌  Kerris Dorsey(ケリス・ドーシー)『The Show』

実話をベースにしたストーリーのおもしろい映画だから、半ば安心して、引き込まれて観ていたのだけど、この歌の登場するシーンで息の止まる思いがした。 マネーボール [DVD] 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 発売日: 2012/10/03 メ…

成功と挫折のあとに辿り着いた成果『アメリカン・ギャングスター』感想

『エイリアン』のリドリー・スコット監督の『アメリカン・ギャングスター』を今さらなんとなく鑑賞。単純にめちゃめちゃおもしろかった。157分もあるのだが最後まで唸りどころのあるストーリー展開に引き込まれた。 アメリカン・ギャングスター [Blu-ray] 出…

わたしはずっとひとりでさみしかった『探偵物語(映画)』感想

あまちゃんの鈴鹿ひろ美の謎を探るにあたり、シーンの類似がある、とほかのあまちゃん評で書かれていた『探偵物語』(映画のほう)を参照することに。結果として、類似してると指摘のあったシーンは「言うほど似てなかった」のだけど、結構興味深い映画だっ…

思春期特有の奇妙な友情、父の不在、そして鈴鹿ひろ美の謎 『あまちゃん』感想

あまちゃん 完全版 Blu-rayBOX1 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 発売日: 2013/09/27 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (67件) を見る 魔法少女としてのアキ 魔法少女の系譜をまとめていて思ったのだが、日本人は魔法少女が世界を救う話…

有限の時間の美しさ 堀辰雄の『風立ちぬ』と『菜穂子』

映画に違和感をもったら、そこがまさに、自分なりにその映画を読み解くカギになる。 『風立ちぬ』を二郎の物語として観て、私は完全に感情移入した。しかし、二郎と菜穂子のふたりの物語としてみると、その関係には不可解な部分が多いと思う。 菜穂子は単に…

呪いを解く少女 『魔法少女まどかマギカ』

浅田真央選手のソチオリンピックの演技内容があまりにも劇的だったので、そこにいろいろな物語を投影するひとは多かったと思う。アスリートとしての生き様だとか、キム・ヨナ選手とのライバル関係についてだとか、そんな、ひとりひとりが心の中に「こうあっ…

『ジュマンジ』をめぐる2つの批評練習 - 父性の賞賛、母性の完全否定

ジュマンジ [SPE BEST] [Blu-ray] 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 発売日: 2015/12/25 メディア: Blu-ray この商品を含むブログを見る

共に生きることの感動 『おおかみこどもの雨と雪』感想

この作品については、リアルに子育てに奔走する人たちから「親が非常識すぎて全然感情移入できない」というような感想をよく聞いていたので、私は心して見た。親が子どもを不幸にしているのに、そのことに無自覚であわよくば作り手側が賛美すらしている作品…

「移民」として生きること 『バードマン』感想

2015年のベスト映画『バードマン』を家であらためて観た。 「これは移民の映画である」という評を、監督含め主要クルーがアルゼンチン人だから、となんの気なしに字義通り受け止めていたのだけど、これは「アメリカのニューヨークで生きる”移民”を描いた作品…

戦争中毒と軍事オタク 『アメリカン・スナイパー』と『風立ちぬ』

d.hatena.ne.jp 最近話題になっていた、こちらの記事。宮崎作品における、親子関係や、女性や、戦争の扱いって、一般常識に照らせば「すげーひどい話」だよね、ていうのが宮崎監督本人の談話も交えて端的にまとまっている。 とはいえ、「なのになんでラピュ…

史上最悪のジャングルクルーズ『地獄の黙示録』感想

『地獄の黙示録』(完全版)という長い映画をがんばって観たら最後まで観たところで「やっぱりこれ一回観たことあったー!!」となったので、せめてレビューでも書きたい。 川好きとして「川映画」レビューをとあるドボク同人誌(※)に書いたことがあるのだ…

エグい女の人生『かぐや姫の物語』感想

『かぐや姫の物語』を見終え、もう80近い爺さんである高畑監督がこれを作ったのだとするとちょっとエグすぎやしないか、と思ってドン引きしていたところ、脚本は女性ということだったので心底安心した。安心したがしかし、エンターテイメント作としてはまっ…

すべての退屈したミュージシャンへ。『はじまりのうた』感想

上京と成功と挫折 これは「上京するミュージシャン」の話だが、「上京して成功する/そして破滅するミュージシャン」の話では全くないところがとてもいい。 はじまりのうた BEGIN AGAIN [Blu-ray] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2015/10/07 メ…

狂気は狂気のままで置いておけ。『タクシードライバー』感想

タクシードライバーを主人公にしがちな監督といえばリュック・ベッソンがいて、『TAXi』でも『フィフス・エレメント』でも『トランスポーター』(タクシーではないが)でも、映画でタクシーといえば超高速でぶっ飛ばしたり空飛んだりするもんだ、という頭が…