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たった一人、自分しかいない世界の社会学『インターネットで死ぬということ』

過剰な自己愛で他人を振り回し迷惑かけがちな私にとって、北条かやさんの存在というのは他人事ではなく、「尊敬していた人からまっとうな叱りを受け、軽蔑される」という、我々にとって最もキツいシチュエーションを彼女がどのように克服しようと考えたか、…

どんなひとにも悩みはある、という単純な話になんかほっとする。『サブカル・スーパースター鬱伝』

「うつ病」に関する知見のレベルというのはここ数年で一般的にすごく上がってきたと思うのですが、この本は「2011年2月まで(震災以前)」に「クイック・ジャパン誌上」で「サブカル男は40歳を超えると鬱になる」という牧歌的な仮説をたててゆるくインタビュ…

自分が何者であるかわからないあの4年間をいまさらそっと抱きしめる『最後の秘境 東京藝大』

自分で買っておいて読むのが辛くてしばらくおいておいた本だったのですが。読んでみた感想としては、辛いのは非常に陳腐で下衆で低俗な煽り文句の並ぶ帯(10万部突破バージョン)のみで、中身は多数の藝大生のインタビューをそのまま色眼鏡も脚色もなく収録…

「からっぽの女の子」が世界を救うアニメ『けものフレンズ』は、ほぼ『あまちゃん』

『あまちゃん』を放送から遅れること2年後、NHKオンデマンドで全話ぶっとおしで見て人知れずあまロスになった悲しい思い出からここぞとばかりに盛り上がりに乗じています。 『あまちゃん』(故郷編)と『けものフレンズ』の類似点はこんな感じです。 ・主人…

【まとめ】生きづらさを感じるすべてのひとにすすめたい物語のまとめのまとめ

これまでにまとめてきた、「生きづらさ」をとっかかりとする物語(映画・文学・漫画)のまとめのまとめを作っておきます。 尚、すべてのまとめに「あまちゃん」が出てきます。「あまちゃん」を見ればすべての生きづらさは解決するということかもしれない。 …

平凡に幸福にはなれなかった、経験値の高いすべての人たちへ。『夫のちんぽが入らない』

こだまさんは、間違いなく女子をこじらせている人である。自分に極端に自信が持てないがゆえに、求められるがまま「都合のいい女」になってしまうひと。たたみかけるように次々と起こる不幸は、なんでこだまさんにばかり……と涙するほど理不尽なこともあれば…

こんなふうに誠実に「女」と「エロ」に向き合うことを私はしてこなかったな。『女子をこじらせて』

こじらせ読書ももう4冊目であるが、私は「女」をこじらせてはいないことは、読む前からわかっていた。もちろん、モテないし、「クラスで一番太っている」とか、「同級生がどんどん結婚して子どもを生んでいる」などは、虚栄心の塊であり両親の期待を内面化し…

「病的な虚栄心」と寄り添って生きていくということ。『東大助手物語』

私のよく見る夢のひとつに、「大学受験の前日なのに、なんの勉強もしていない、やばい」というものがある。それって結構普通かもしれないけど、ちょっと普通じゃないのは、その「大学受験」というのが、「いったん大学を卒業してもう1度入り直す」ための試…

『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』を読んで振り返る私のうっとうしい高校時代

タイトルの通りであり、本を読んだ感想にかこつけた読む価値のさほどない自分語りだが、こじらせ読書の2冊目である。 『勉強できる子卑屈化社会』読んだときと全く同じであるが、私は「サブカル」ではなかったんだ!ということがわかってとてもスッキリとし…

『勉強できる子卑屈化社会』を読んで、自分は「勉強できる子」ではなくただの「感じ悪い子」だったんだナァとスッキリする、など。

私の様々なこじらせの部分にモロに触れてくるタイトルなので、読めないし、読めなくてつらい。という本がこれまでに何冊かあったのだが、そのうちの1冊だ。それらのこじらせについてあらためて整理する必要に迫られ、意を決して今回こじらせ関連書籍を一挙…

『君の名は。』の破綻しない全部盛りと『ユーリ!!! on ICE』の反復ともう一度『シン・ゴジラ』と(言葉にならない『この世界の片隅に』と)

2015年のベスト映画は『はじまりのうた』と『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』で、この2つは私にとっての「上京」を確かめなおす、というような大切なものになった*1。 2016年はずっと菊地先生の連載を読んでおっかけていたので「映画」…

華やかな過労死『サプリ』

『サプリ』は新卒で博報堂に入社し、広告プランナーとして活躍される傍ら、漫画家としても執筆を続けていたパワフルな女性、おかざき真里さんの代表作のひとつである。 (以下多分にネタバレを含みます)

大泉洋が好きすぎてつらい『駆込み女と駆け出し男』

『真田丸』をきっかけに(遅い)大泉洋が好きすぎてつらい私は、洋ちゃんの出てる作品を水曜どうでしょう全話一気見に始まり、ありとあらゆるものまで見ている最中なのだが、この作品は「大泉洋」を堪能するための作品として現時点でトップレベルであった。…

これは恋の物語なのか?『最強のふたり』

脊髄損傷で首から下を麻痺した大富豪フィリップと、移民の介護人ドリスの友情の物語。フィリップとドリスの、ふたり一緒に過ごした幸せな時間が、本当に幸福すぎて、観ている最中「ずっと終わってほしくない」と思っていた。フィリップのためを想うドリスの…

闘病記録としての『トゥルーマン・ショー』

今年の芸能界ニュースで私にもっとも衝撃的だったものといえば、現時点でSMAP解散ではなく「ASKAの日記」騒動だ。 それは、元チャゲ&飛鳥のASKA氏が、統合失調症の一症状と思われる「集団ストーカー」「盗聴」の妄想に取り付かれ、取り付かれたまま周囲の制…

私はゴジラとともに生きている 『シン・ゴジラ』(ネタバレあり)

いい映画を観て、観るべきだとか、観てほしいとかオススメする趣味は私はないのだが、何度も観たくなる映画だ。 以下ネタバレ多め。

母娘関係のメジャー化と脱構築 映画『海街daiary』

吉田秋生さんといえば、『BANANA FISH』に代表されるような、「THE・父殺し」のマッチョなアクション漫画を描く方、という印象であるが、最新作の『海街diary』は、鎌倉の街を舞台にした日常を丁寧に描いた、今までの作風とは少し違った作品である。 海街dia…

心の真ん中にどかんと居座る暴力的な愛『バケモノの子』

おおかみこどもの雨と雪、につづいて、普通とはちょっと違う家族のお話をファンタジーを通して描いたシリーズである。娘である雪の気持ちにも、花の気持ちにも簡単に移入できたおおかみこども、と違って、ただただ父親に対しては「娘」でしかない私は傍観者…

【まとめ】脱構築の物語

あんまり詳細を書くとそれだけで完全にネタバレになってしまうので、なにも書きませんが、脱構築的な映画や物語が大好きなので、並べるだけ並べて楽しんでおきます。 アメリカン・ギャングスター blog.tokyo-esca.com 善悪の脱構築 ショーシャンクの空に シ…

残された者として、どう生きるか- 映画『オデッセイ』

火星にひとり取り残されたマーク(マット・デイモン)が、絶望的状況の中でも希望を失わず、生還に向けて努力する話。 軽快なディスコ・ミュージックが常に流れるSF、というちょっと新鮮なジャンルで、クスクス笑いも漏れ、楽しく鑑賞した。 www.foxmovies-j…

自分自身の尊厳のために誰かを愛すること - 映画『キャロル』

eiga.com これは恋愛映画ではない。 誰かを愛することで、自分が自分らしくあるための覚悟を描いた、美しい映画。

娘が父に贈る歌  Kerris Dorsey(ケリス・ドーシー)『The Show』

実話をベースにしたストーリーのおもしろい映画だから、半ば安心して、引き込まれて観ていたのだけど、この歌の登場するシーンで息の止まる思いがした。 マネーボール [DVD] 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 発売日: 2012/10/03 メ…

成功と挫折のあとに辿り着いた成果『アメリカン・ギャングスター』

『エイリアン』のリドリー・スコット監督の『アメリカン・ギャングスター』を今さらなんとなく鑑賞。単純にめちゃめちゃおもしろかった。157分もあるのだが最後まで唸りどころのあるストーリー展開に引き込まれた。 アメリカン・ギャングスター [Blu-ray] 出…

【まとめ】アンバランスな女たち - 自立した女ほど不安定になる現象まとめ

男に依存しない自立した女を描こうとすればするほど、なぜかアンバランスになる、という現象がある。「それから2人は末長く幸せに暮らしましたとさ」という結末の引力に引っ張られ、それから離れようとすればするほど、重心が崩れるのだ。 自立した女 探偵物…

わたしはずっとひとりでさみしかった『探偵物語(映画)』

あまちゃんの鈴鹿ひろ美の謎を探るにあたり、シーンの類似がある、とほかのあまちゃん評で書かれていた『探偵物語』(映画のほう)を参照することに。結果として、類似してると指摘のあったシーンは「言うほど似てなかった」のだけど、結構興味深い映画だっ…

【まとめ】思春期特有の奇妙な友情 - 理屈抜きの理解しがたい友情に心揺すぶられる物語まとめ

大人になると、同じものが好きとか、趣味や性格が似てるとか、考え方が似てるとか、そういう幾分打算的な理由で、「友人」になるケースが多いものだ。 しかし、あの頃の私たちには、どういうわけだか全くわからないけれど、正反対な性格の相手との、理解を超…

思春期特有の奇妙な友情、父の不在、そして鈴鹿ひろ美の謎 『あまちゃん』

あまちゃん 完全版 Blu-rayBOX1 出版社/メーカー: TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 発売日: 2013/09/27 メディア: Blu-ray この商品を含むブログ (67件) を見る 魔法少女としてのアキ 魔法少女の系譜をまとめていて思ったのだが、日本人は魔法少女が世界を救う話…

【まとめ】三途の川の系譜 - 川と水辺の物語まとめ

水辺好きとして、川や水辺をテーマにした作品には見入っちゃう、という癖があるのだが、あらためてまとめてみると、川とは要は三途の川であり、生と死の境目であるわけで、そういう作品のまとめになっちゃってるのであった。 都市交通としての川 機動警察パ…

【まとめ】上京の系譜 - 都市に生きることを選択した若者の物語まとめ

18で上京した私が、なんとなく言葉にできずにいる、いろんな哀しさや、惨めさや、それでもここに生きる覚悟を、明確に綴る物語のまとめ。 ニューヨーク グレート・ギャツビー グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー) 作者: スコットフィッツジェラ…

薄汚くよこしまな大都市に生きる 『ロング・グッドバイ』と『グレート・ギャツビー』

私はあまり読書家ではなく、偏読が激しいのだけど、チャンドラーを1冊も読んだことがなかったのは不覚であった。 村上春樹訳の軽装版で「ロング・グッドバイ」を読んだのだけど、これは人生で何度も読み返す本になるだろうなと思う。 ロング・グッドバイ (…

有限の時間の美しさ 堀辰雄の『風立ちぬ』と『菜穂子』

映画に違和感をもったら、そこがまさに、自分なりにその映画を読み解くカギになる。 『風立ちぬ』を二郎の物語として観て、私は完全に感情移入した。しかし、二郎と菜穂子のふたりの物語としてみると、その関係には不可解な部分が多いと思う。 菜穂子は単に…

呪いを解く少女 『魔法少女まどかマギカ』

浅田真央選手のソチオリンピックの演技内容があまりにも劇的だったので、そこにいろいろな物語を投影するひとは多かったと思う。アスリートとしての生き様だとか、キム・ヨナ選手とのライバル関係についてだとか、そんな、ひとりひとりが心の中に「こうあっ…

『ジュマンジ』をめぐる2つの批評練習 - 父性の賞賛、母性の完全否定

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イノセンスの崩壊『感謝祭の客』(誕生日の子どもたちより)

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【まとめ】戦争中毒と軍事オタク - 世界各国「近代戦争」がテーマの物語まとめ

とりあえずにもほどがある戦争映画まとめ

【まとめ】魔法少女の系譜 - がんばってる女の子が世界を救う話まとめ

私は女の子ががんばって世界を救う話がとても好きです。そこには、私が女の子だった時代のすべてが詰まっている気がします。 私をいつも勇気づけてくれる物語のまとめ。 たったひとりで世界を救う少女 ひととは違う能力を持ってしまったために、たったひとり…

共に生きることの感動 『おおかみこどもの雨と雪』

この作品については、リアルに子育てに奔走する人たちから「親が非常識すぎて全然感情移入できない」というような感想をよく聞いていたので、私は心して見た。親が子どもを不幸にしているのに、そのことに無自覚であわよくば作り手側が賛美すらしている作品…

「移民」として生きること 『バードマン』

2015年のベスト映画『バードマン』を家であらためて観た。 「これは移民の映画である」という評を、監督含め主要クルーがアルゼンチン人だから、となんの気なしに字義通り受け止めていたのだけど、これは「アメリカのニューヨークで生きる”移民”を描いた作品…

戦争中毒と軍事オタク 『アメリカン・スナイパー』と『風立ちぬ』

d.hatena.ne.jp 最近話題になっていた、こちらの記事。宮崎作品における、親子関係や、女性や、戦争の扱いって、一般常識に照らせば「すげーひどい話」だよね、ていうのが宮崎監督本人の談話も交えて端的にまとまっている。 とはいえ、「なのになんでラピュ…

史上最悪のジャングルクルーズ『地獄の黙示録』

『地獄の黙示録』(完全版)という長い映画をがんばって観たら最後まで観たところで「やっぱりこれ一回観たことあったー!!」となったので、せめてレビューでも書きたい。 川好きとして「川映画」レビューをとあるドボク同人誌(※)に書いたことがあるのだ…

エグい女の人生『かぐや姫の物語』

『かぐや姫の物語』を見終え、もう80近い爺さんである高畑監督がこれを作ったのだとするとちょっとエグすぎやしないか、と思ってドン引きしていたところ、脚本は女性ということだったので心底安心した。安心したがしかし、エンターテイメント作としてはまっ…

【まとめ】美形の系譜 - 美しい人々を眺めて元気になる物語まとめ

美しすぎる云々、というのは最近の流行ですが、美しすぎること自体が主題にされる物語も数多く存在します。不幸であることも多いのですが、美しい人々を眺めていると単純に私は元気が出ます。よわったときに最適。というわけでまとめ。 美形すぎて世の中狂わ…

【まとめ】弱い親の系譜 - 家族の関係に疲れたときに読みたい物語まとめ

内田樹先生が以前、村上春樹解説本で言っておられたことですが、物語は「絶対的な父なるもの」との闘いの構造を持つもので、(村上春樹氏がグローバルな作家となれたのは父なるものを描かなかったから、とお話は続くのですがうろ覚え)『フォースの覚醒』で…

雲田はるこ、親を赦す漫画『昭和元禄落語心中』

「あなたも親になればわかるわよ」という言葉は、反発する子に対するセリフとしてはあんまりだ。親になればわかる、それは確かにそうであろうが、言い換えればそれはつまり、反発する子が再生産されたということで、親になるとわかるのであろう感動や、愛や…

すべての退屈したミュージシャンへ。『はじまりのうた』

上京と成功と挫折 これは「上京するミュージシャン」の話だが、「上京して成功する/そして破滅するミュージシャン」の話では全くないところがとてもいい。 はじまりのうた BEGIN AGAIN [Blu-ray] 出版社/メーカー: ポニーキャニオン 発売日: 2015/10/07 メ…

狂気は狂気のままで置いておけ。『タクシードライバー』

タクシードライバーを主人公にしがちな監督といえばリュック・ベッソンがいて、『TAXi』でも『フィフス・エレメント』でも『トランスポーター』(タクシーではないが)でも、映画でタクシーといえば超高速でぶっ飛ばしたり空飛んだりするもんだ、という頭が…