どんなひとにも悩みはある、という単純な話になんかほっとする。『サブカル・スーパースター鬱伝』

サブカル・スーパースター鬱伝 (徳間文庫カレッジ)

うつ病」に関する知見のレベルというのはここ数年で一般的にすごく上がってきたと思うのですが、この本は「2011年2月まで(震災以前)」に「クイック・ジャパン誌上」で「サブカル男は40歳を超えると鬱になる」という牧歌的な仮説をたててゆるくインタビューしたもので、香山リカさんについても精神科医としてというか「女性のサブカルファン」としての見解を述べるにとどまっているため、不眠などの身体症状を伴う「うつ病」も、「落ち込んだ気分」も、「パニック障害」も、すべてひっくるめて「鬱」となっています。そのうえで「サブカルは運動しないから鬱になる」とか、「売れてからそれまでの女を捨てて若い女に走って鬱になる」(町山智浩さんの談で、本文中でも「ヒドい」と言われていますが)とか、そういうてきとうな仮説が延々連なっていくので、怒るひとには怒るポイント満載の本であるともいえます。ただ、読んでいくうちに思うことは、「サブカル・スーパースター」となっているように、私のような門外漢からみてさえも成功者にうつる人々がよってたかって「金がない」とか「離婚した」とか「女にふられた」とか「老いるのが怖い」という話(と、闘病経験のある方はそれの結構生々しい体験談)を延々と、ライトに、仲良しの吉田さんに喋り、吉田さんが「だはははは」と笑って聞く、という本なのでして、どんなひとにも悩みはあるんだなぁという、サブカルとか鬱とかまったく関係ない一般論にまで落とし込んだ上で「癒し力」のある本なのでした。

個人的には、「間違ったサブカルで〜」を読んで、なんとなく関連書籍として買ってみたというところだったのですが、ロマン優光さんが「サブカル」と定義するものをなにひとつ知らなかったのと同様、吉田豪さん含めて(菊地成孔さん以外)ほとんどまったく活動を存じ上げない(さすがにリリー・フランキーさんの『東京タワー』と松尾スズキさんの『クワイエットルームにようこそ』は読んでますがマジでその程度)方々が並び、マジでまったく私はサブカルにかすりもしていなかった、ということが明らかになり、サブカルこじらせを名乗ったり、サブカルについて語る資格があると勘違いするのはやめよう、という決意をあらたにしたところであります。